「2012年07月」の記事
目に見えないものを大切に!
7月15日?16日の連休、生徒16名(1年生?3年生)と今年も止揚学園を訪れました。名古屋駅から米原、米原で乗り換え能登川駅に到着。静かな佇まいの能登川の町を、止揚学園に向かって20分程歩いて行くと、止揚学園のカラフルな建物が見えてきます。生徒たちから歓声の声が上がりましたが、同時に止揚学園の玄関から「いらっしゃい!」「ようこそ!」という声が聞こえてきて、温かく迎えてくださっている止揚学園の方々の優しさに生徒たちも、「○○さん、こんにちは!」と1年ぶりの再会を喜んでいました。
まずは、ホールでオリエンテーション。ちょうど福井達雨先生がいらっしゃいましたので、先生のお話を聞くことができました。先生は聖書の?コリントの信徒への手紙4章16節?18節を朗読した後、私たちに次のようなお話をしてくださいました。
止揚学園に40年いて先月亡くなったかおるさんの告別式の様子やまりこさんのお母さんが亡くなった時、まりこさんがニコニコしているのを見た先生が彼女に尋ねたら、「お母さんはイエス様のそばにいるから、私が来るのを待っているから悲しくないんや」と答えたこと、また、桃太郎の劇をした時、「鬼を退治しよう」というセリフになると、みよしさんが「鬼を大事にしよう」というので劇にならなかった(笑)。世間では脳に重い障害を持っている人たちのことを「アホやから」と言うけれど、みよしさんのように、鬼も桃太郎もサルもキジもみんな仲良くしないと平和な世界は来ない。そうすれば、いじめ、いじわるがなくなる。ここにいる人たちはイエス様のそばに生きているから、勝つことがすべてではなく、みんなお互いが大切にし合う生き方を大事にしているんや。見えるものは一時的、見えないものは永遠に続くから見えないものを大切にし、偉い人より立派な人間(見えないものをいっぱい持っている人)として生きてほしい。いつも相手のことを考えないで生きていたり、自分の立場に立って考えるから相手の声が聞こえないので、3年間の学校生活を通して、見えないものを大切にすることを学んでほしい、と生徒たちに心を込めてお話をしてくださいました。
その後、おいしい昼食をみんなで頂き、私たちはアンパンマンの踊りを披露し、皆さんに楽しんでもらいました。昼食の片づけ後、学園を見学するグループ、園庭のペンキ塗りを手伝うグループに分かれて作業をしました。夕食後、花火をして楽しみました。翌日は、プールに入って皆でゲームをして遊びました。1泊2日の短い訪問でしたが、生徒たちにとって貴重な体験になりました。最初の夜、花火をし終わった後、ホールに集まり1日過ごして気づいたことを分かち合いました。その内容をまとめてみました。
- 障害を持っている人たちに対する偏見がなくなった。一日止揚学園の人たちと接し、みんなの心の優しさが伝わってきて、可哀相だと思っていた自分が恥ずかしい。
- 止揚学園に来ようと思ったのは、自分が住んでいる地域に障害を持っている人がいるけれど、その人と地域の人たちの間にトラブルがあるので、自分なりの考えをもつことができればいいなと思った。障害を持っている人のことをもっと理解して欲しいと思う。
- 悩みを抱えていた時に止揚学園に来て、皆の優しさによって心が開かれ、自分に自信が持てるようになったし進路について自分の考えを持つことができた。
- 止揚学園の人たちの貼り絵の作業を見ていると、貼り絵をすることに喜びを感じていて、出来上がったその絵についてこだわっていない様子を見、その時を純粋に楽しんでいることに気づかされた。自分はこんなに純粋に物事に取り組み楽しんでいるのかと反省させられた。貼り絵を見て、私たちを迎えてくれた人たちの笑顔が絵で表現されていたし、ここで生活している人の色が見えてきた。
- 最初怖いと思っていたけれど、向こうから話しかけてくれたり、肩に手をかけてくれた手のぬくもりからその人の優しさが伝わってきた。
- 食事の準備を手伝わせてもらった時に、私たちのために台所で一生懸命に準備してくださっている人がいることに気づかされ、感謝の気持ちが生まれた。私の見えないところで働いている人がいることを実感した。ネギを切っていたら、ネギが生きていることに気づけた自分がうれしい。私が作ったものを「おいしい」と言ってもらった時は本当にうれしかった。
- 止揚学園の人たちは、挨拶もきちんとしてくれるし、人としてきちんと接してくださるので私の方が学ぶことが多く、将来の仕事に活かせる。
- 障害を持った人と出会うのは初めてだったけれど、奉仕する心を学ばせてもらい、自主的に動ける自分がいた。止揚学園の人たちと花火をしていた時に、服部さんに「かおるさんも天国から見ているね」と言われ、どのように答えていいかわからない自分がいた。
福井先生がお話してくださった「見えないものこそ大切」「自分のことより人のことを考える人」こそが立派な人という意味が、1泊2日の短い期間の中でしっかりと理解できたように思います。人は経験することによって学んでいくのですね。福井先生の「苦しい時、悲しい時、聖カピタニオで学んだことを、そして止揚学園に来たことを思い出してほしい」と言っていただきました。今年も私にとって、貴重な体験をさせていただきました。
自分を大切にすること!
本校はウマニタス、保健の授業、家庭科の授業とコラボレーションで性の学習を行いながら「自分を大切にする」教育を行っています。性について考えることは、生き方について考えることと深い関係があります。その一環として、1学期に各学年「性の学習会」を行っています。尾張旭市の「そのこレディースクリニック」の三枝園子先生と千種区の「咲江レディースクリニック」の丹羽咲江先生が、「男女の体の違いと心理について」「STD」「デートDV」「月経痛」「誕生の素晴らしさ」について各学年に合ったお話をしてくださいました。以下、生徒の感想を掲載いたします。
- 「性感染症は私には関係ないでしょう・・・」と今まで思っていましたが、今日講演を聞き、予防する・知識を持つことを学びました。・・・・今日お話を聞いて、産婦人科の病院にも相談しやすくなりました。大人になり期間も全然遠い先の話ではないので、まずは大人の第一歩として、自分の体についてよく知っておきたいなあと思いました。幼い頃は、どうやって子供が生まれるのか知らなかったけれど、改めて今日のパワーポイントを見て、命が母親に宿ることがどれだけ奇跡のようなことで、命がどれだけ大切なものなのかが、ひしひしと伝わってきました。(高校1年)
- 性の学習って、名前からしてすごくいやらしく感じたけれど、講演を聞いて自分の体が今どんな感じなのか知ることができました。・・・・・最後にあった「いのちのストーリー」とても感動しました!それにしても0,13mmから身長165cmって人間てすごーい!!って思いました。私は生きているだけでOKなんだと思いました。今回の講演会で本当に大切なことを学べたと思います。(1年生)
- 性的行為をすることによって、性感染症によって死に近づいてしまうのは恐ろしいなと思いました。国語や数学のように毎日教えてもらう事ではないけれど、体について学ぶことはとても大切だと思いました。自分の体や他人の体を知るのは、自分を、または他人を守ることにつながるんだと改めて知ることができました。だから他人事だとは考えられない歳です。今日教えていただいたことを頭の中に入れ、保ち続けて、いつか自分や他人を守ることにつながったらいいなあと思いました。(1年生)
- 妊娠して赤ちゃんが生まれるまでの過程は、とても神秘的で感動しました。私も最初はあんなに小さかったのだなぁと思いました。赤ちゃんがお母さんを選ぶと言っていました。私はお母さんとお父さんを選んで本当に良かったと思います。「生まれてきてくれてありがとう」と言われるのではなく、「生んでくれてありがとう」と言いたいです。(1年生)
- DVは相手に対する暴力や性行為ぐらいだけかと思っていましたけれど、言葉や自分の好きなことを相手に強要することもDVだという事は知らなかったので驚きました。相手が良いと言うならよいけれど、相手に無理矢理にするのは、なんでもダメだと思います。原因がなんであれ暴力もしちゃいけないし性行為もだめだし許せません。男の人に関するコンドームの話では、女の人はそんなの知らなくてもいいんじゃないかと思っていました。けど男の人は、そういう話を聞いたりする機会がないと言っていたので、話を聞く機会の多い女の人たちが話を聞いて教えてあげないといけないと思いました。・・・相手も自分も気を付けないといけないし、自分自身は自分で守らなきゃいけないというのが強くなりました。(2年生)
- 講演の初めに人が成長していく過程を学びました。私は17歳なので、今は大人になる自立への準備期間であることを知りました。普段の生活を振り返ってみると親に任せてしまっているので、段々と自分だけで生活をしていけるように準備をしていこうと思います。そして私が一人前になって両親に介護が必要になった時には、今まで育ててくれた恩返しをしたいと思います。(2年生)
- デートDVの原因の一つに正しい知識を持っていない、妄想と現実の違いがわかっていないということがあり、それに似たような人殺しなどの殺人もおこっていて、現代社会の問題点が浮き彫りになったように思う。体への暴力は男性が多いように思うが、心への暴力、言葉への暴力は男女とも力の差がないし、感情的になってしまうと「死ね」「生きている意味はないよ」というような言葉を簡単に言ってしまう。自分を大事にできない人は、他人も大事にできないと思う。さらには、自分をコントロールし恥とか関係なく、自分のために信頼できる人に相談することもやはり大事だと思う。(2年生)
- 性感染症などの実際の症状の写真を見て、あまりの正常の写真とは違う異常な症状を見て驚きました。もし自分が感染していたとして、あの症状が自分の体の中で起きていると思うと気持ちが悪くなりました。・・・先生のもとへ送られてきたメール、お話、また先輩のお話を聞いて、他人事ではないと危機感を感じました。今まで、そのようなことを感じたことがなかったので、少し怖かったです。自分や周りの友達が正しいと思っている性の知識が正しくなく、それによって自分の体と未来までも悪い方へ変えてしまうことも知りました。(3年生)
- 私が改めて知ったことは、性感染症の広がりです。水を使って説明をしてくださったので、とてもわかりやすく信憑性がありました。10人のうち8人の子が感染したのを見て、急に怖くなりました。どこかで、自分は移らないだろうという気持ちを持っていましたが、危機感を持つことができました。まだまだ知識がない私たちは、大人よりさらに注意しなければいけないと思いました。メールの実際の例を見た時、よりそれを感じました。自分の人生の責任を18歳になった今、最もたないといけないと思いました。(3年生)
- 丹羽先生の講演の中で、「自分の体は、自分で守る」ということがあったけれど、自分のことは自分が一番分かっているし、何かあったらでは本当に遅いと思うので、自分で守っていけるようにしたいです。あと自分だけでなく周りの親も悲しませることになってしまうので注意したいです。(3年生)
- 今はネットがずいぶんと普及して、そういったものの知識を得やすいかとは思いますが、やはり正確で、そしてリアルな話というのは、こういう場だからこそ得られるのだと思います。今どきの中学生、高校生、特に男性の多くはセックスをすることを軽く考えすぎているように感じるので、セックスをすることで一人、二人、あるいはもっと多くの人の人生を、そして一つの命を傷つけることになるかも知れないという事を十分知る必要があると思いました。なかなかじっくりと学ぶ機会がないのですが、私はもっと時間を割いて男女共に学ぶべき大切なことだと思いました。(3年生)
- 講演で月経痛の仕組み、和らげる方法、また“性”は“生”と考えることを知り、辛くてもどうして痛むのかという知識があれば、少しは楽になりそうな感じがしました。生について考えると、人類が誕生してからのとても長い歴史で築き上げられてきた命のつながりが、今の私にまでめぐってきて、また後につながりを広げる存在になれるかもしれないので、痛みが辛いだけでなく、喜びを伝えてくれるものだと思いました。命が誕生することは神秘的で、とても感動することですが、現実にある中絶は、その神秘を無理になくしてしまう行為だと思います。・・・望まない妊娠をして一番つらい思いをするのは女性だと思うので、自分の身は自分で守ることを大事にして、授けられる命すべてが素晴らしい世界に誕生することができるような世になってもらいたいと思いました(3年生)
以上、生徒たちの感想を抜粋して掲載しましたが、この講演会で生徒たちは「性=生」と真剣に考えてくれました。1回限りの人生、自分を大切にし、相手を大切にする生き方をするための助けになった時間でした。
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