2014年8月|聖カピタニオ女子高等学校|豊かな人間性を持つために

「2014年08月」の記事

自然から学ぶ謙虚さ

夏休みも終わりに近づき、全国の子どもたちは夏休みの楽しかった思い出を整理しながら2学期に向けて心準備をしていた事でしょう。そんな矢先、広島で土石流が発生し一瞬のうちに尊い命や財産が奪われました。聖書の中に「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。」(マタイ福音書6章34節)というみ言葉があります。そのみ言葉を信じて被災なさった方々が希望を持って毎日を生きられることをお祈りしています。

先日、中部カトリック研修会が行われました。基調講演の講師は、自然農法家 村上真平氏。テーマ「自然によって、自然のうちに、自然とともに」に沿って、ご自身の体験を話してくださいました。村上さんは1982年?2002年、海外協力としてバングラディッシュやタイ、アフリカ等自然農業の普及と持続可能な農業開発の活動に携わっておられました。そして、2002年から福島県飯館村で「自然を搾取しない農業の在り方と、第三世界の人々を搾取しない生活の在り方」の探求と持続可能な生き方を目指し、自然農業、自給自足をベースにしたエコビレッジづくりを始められましたが、2011年3月11日の東日本大震災によって福島県飯館村から避難され、現在は、三重県美杉町に在住し自然農業を再開していらっしゃいます。

村上さんのお話を伺い上がら、私たちは自然の恩恵をどれだけ受けているのか、改めて考えさせられました。旧約聖書の創世記には、「神は天地万物を造られたあと、神はこれをみて、『良しとされた。』」(創世記1章参照)と書いてあります。自然は、万物をお互いに生かし合うように造られています。村上さんは、自然の森が持っている豊かさと持続性の要である「循環性」「多様性」「多層構造」から学ばれ、それを農地づくりに取り入れられました。「人間が生きていくために最低限必要なものは、空気、水、食べ物、衣服、住む家、そして、煮炊きと暖を取るために必要な薪(エネルギー)。これら基本的な六つのものが十分あれば、お金がなくても人間は生きていくことができる。そして、幸せに生きるかどうかは、その人の外に『持っている物』にではなく、その人の内に『在るもの』によって決まる。」とおっしゃったことが印象に残りました。そして、「生命の基である自然を壊さずに、自然の恵みの中で生きる技とマナーを学び、競争から→協力へ、奪い合いから→分かち合いへ、という『共に生きる智慧』を学ぶ生き方、すなわち、『内的な豊かさ』を求める生き方。」を私たちが探し求めていけば、もっと豊かに人間らしく生きていけることを話してくださいました。

私たちは皆、村上さんのような生き方はできませんが、村上さんが教えてくださっている「本当の豊かさ」を知ることによって、自分の生き方を軌道修正できるような気がします。「人間が神のように生きたい」(原罪)と思った時から、人間は自然との関わり方、人と人との関わり方を壊し続けています。村上さんがおっしゃる「内的な豊かさ」を持って生きる事を伝えることこそ、“教育”の使命だと私は確信しています。その事を再確認できた研修会でした。

 

 

 

 

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