「2016年07月」の記事
本当の優しさは人を変える!
昨年台風接近のために訪問できなかった止揚学園に、今年は7月16日~17日生徒16名と一緒に訪問することができました。止揚学園の玄関先で、学園の方々は笑顔で両手を上げて私たちを出迎えてくださいました。
今回参加した生徒たちは、止揚学園を訪れるのは初めてで、知能に重い障害を持った人たちとの出会いに緊張感を持っていましたが、止揚学園の方々の、体ごと私たちを出迎えてくださっている姿に感動し、最初の緊張感もほぐれた様子でした。
しかし、まだまだ緊張気味の生徒たちに、止揚学園の人たちは言葉にならない言葉で労わってくださりました。それでもまだ戸惑っている生徒たち。そんな生徒たちに寄り添って食事の片づけを一緒にする中で、生徒たちの心は徐々に開かれていきました。
夕食後は、止揚学園の人たちとペアになって花火を楽しみました。この頃になると生徒たちの顔が変わり、活き活きとした表情になっていました。
翌日の生徒たちの行動は積極的で、楽しそうに掃除をしたり食事の準備をしたりと、同じ人とは思えないほどに変わってきました。1日目の夜の分かち合いで、生徒たちは次のように話してくれました。
*母親が障害者の就職支援をしている関係で施設を訪れるが、こんなに明るい施設ではなかった。止揚学園の人たちに思いやりがあり、先生から「待ってね」と言われると、きちんと待っているのに感動した。
*中学の時に、身体的障害者と違う障害者のことを知り、その事について知りたいと思った。ここの人たちは心を開いてくれて、自分から行動している。自分の意思をしっかり持って表情が豊かな人たち。
*中学校の時に、先生から支援学級の人たちを差別しないでと言われていたが、差別をしていた。その差別は、無関心で相手を見ようとしなかった。
止揚学園の人たちと接して、差別していた自分が嫌になった。これから自分の方から関わりを持っていこうと思った。
*知能に障害を持っていない自分が止揚学園の人たちから食後の片づけの指示を受けていて、自分が恥ずかしくなった。
*コンサートの時に止揚学園の一人の人が大声を上げていたのは、私を助けるためだった。
私の横に座っている人が足を組んだために私が窮屈になったから、その足を組んでいる人に「組むのをやめろ」と彼なりに言っているが、他の人たちにはその人が叫んでいるとしかわからない。私もこれまでただ叫んでいるだけと思っていたが、そうではないことを知った。
*私は福祉に興味を持ち、将来福祉関係の仕事に就きたいと思っている。止揚学園の人たちと関わって、言葉が発せなくても、他の方法もあることに気づかされた。
*私は人と話すことが怖かった。こちらに来て自分を受け入れてもらえて、素の自分を出せることができて嬉しい。以前よりも人と話すことが怖くなくなってきた自分がいる。
*人間関係に不信感を持っていた自分がいた。こちらに来て、皆は自分ができることを一生懸命にしている姿に感動させられた。私も自分ができることを一生懸命にしていけばいいことを学んだ。
以上のようなことを、ほとんどの生徒たちが言っていました。そして、知能に重い障害を持っていても私たちと同じ人間であることを身をもって理解したようでした。
それ以上に、自分たちの心の貧しさに気づかされたようで、止揚学園の人たちの「人を思いやる優しい心」に触れて心が癒され優しくなったように感じられました。
園長である福井生(いくる)先生が、私たちにお話してくださった中で私が心に残ったお話があります。
「入園してきた○○さんは、ものを叩きます。お皿も壊し壁も壊しました。その時に、壊れないものに替えようかと職員で話しましたが、それは本人のためにならないのではないか。
それよりも本人の傍にいる時間を作ろうということになり、壁を壊したら一緒に壁紙を貼りました。その○○さんは職員の結婚式の歌を聞いて、涙を流していました。・・・社会の中に色々な人たちが居ます。
社会の弱い立場の人たちの声を聴いていきましょう。優しい言葉があるからこそ、一人ひとりを信頼して明るい未来、笑顔を作ります。
“大丈夫”“ゆっくり”の言葉はお互いを思いやる言葉です。そして生きる力になります。」
私たちは、他者から支えられて生きています。この2つの言葉を意識して自分を取り巻く人々の声を聴きながら生きていけば、平和な家庭、社会になるでしょう。
社会を変えるのは?
日本の将来の生き方を決める参議院選挙が終わり、18歳以上の人たちも清き1票を投じて自分たちの意思表示をしました。
若者たちも社会を変える権利を頂き、若者たちの声が社会を変えていくきっかけになればと思っています。
本校も一人ひとりが自分を取り巻く社会に、関心を持って行動できる生徒の育成に力を入れ「女子力」を高めています。
7月2日(土)は、関西から大学生が12人来てくださりBlue Earth塾を開き、生徒たちに「世界のごみ問題」についてレクチャーをしていただきました。
7月14日(木)の午後、神戸松蔭高校の谷口先生にお越しいただき、「2016年秋バージョンBlue Earth」に向けてのお話を伺いました。
参加した1年生18名、2年生28名の生徒たちは熱心に谷口先生のお話を聞いていました。
その熱心さに、生徒たちはどのような思いを持って今回のBlue Earth塾に参加したのか、その声を聞いてみました。
*私は社会のために何かしたいけれど、何から始めればいいのか分からないから、始めるきっかけになるのかなと思って参加しました。
*1期生の先輩たちが舞台で活動報告をした時に、すがすがしい顔で「達成感がある。」と言っていたことが印象に残っていて、「生きがい」がない自分にぴったりだと思えた。
*今起こっている環境問題の中で、少しでも社会を変えるために自分から動きたいと思ったから。
*社会を変えるというのは大人にしかできないと思っていたけれど、お話を聞いて女子高校生だからこそできることがあると分かったので、自分もそのきっかけになればと思った。
*女子高生でも社会を変えられるという所に、良さを感じた。今しかできないことを、情熱をもった全国の女子高生とともに発信できることがとても良いと思う。
*このプロジェクトは女子高生にしかできないことだから、私にできることをやりたいと思った。カピ生の行動が世界を動かす力になるなら、それはとても素敵なことだと思った。
*環境の話を聞いて、このままじゃだめだと思ったことと、自分たちにできることがあるならやってみたいと思った。
*“女子高生が社会を変える”この言葉に惹かれました。同じくらいの年齢の子が社会に訴え、変えていこうとしている姿を見て誇りに思いました。そして、自分も何かアクションを起こしたいと。
少しかもしれないけれど、一人でも多く環境について考える人が増えるように活動していきたいです。
*今まで環境について、世界の環境が悪いことは知っていたけれど、どのように行動を起こし、どう伝えるのかができずにいました。
だけど、Blue Earth Project を通して世界に対して自分でできること、貴重な体験ができることが楽しみで仕方ないです。
*自然が好きだけれど、自分一人ではどうすることもできないから、Blue Earth Projectに入ることによって何かできないかなと思って参加しました。
*1年生の時に授業で「セヴァン・スズキ」さんの話を聞いた時から、環境問題について意識が強くなり、自分の力が少しでも役に立てると思ったから参加した。
と、ほとんどの人たちが、ここに挙げたような内容でした。
谷口先生が生徒たちに、「女子力=女子高生ならではの強みって何だと思う?」と問いかけられました。
生徒たちから「にぎやか・元気・嬉しさ・影響力・親しみやすさ・明るさ・おしゃべり」と出てきました。
すると谷口先生は「女子力は、おしゃれ、楽しさ、ロマンチックだから、それを生かして社会を変えていこう。
何かをする時には、まず自分が楽しむこと。そして、それを周りの人たちに訴えていけるのは女子高生だからできること。」と今を生きる大切さを話してくださいました。
この塾を通して、何人の生徒たちが本格的にBlue Earth Projectに参加の意思を示してくれるかわかりませんが、秋のBlue Earth Projectが始まりました。