「2018年05月」の記事
創立55周年記念式典
5月11日(金)、本校の創立55周年を5月の透き通った空が、祝福してくれました。
名古屋教区長松浦悟郎司教様の司式のもと荘厳に、55年間神様と人々からいただいた恵みに感謝を捧げました。
ごミサの前に、聖バルトロメア・カピタニオの生き方を、本校理事長SR.フランチェスカが次のようにお話をしてくださいました。
「・・・聖女の生き方は、目の前に困っている人たちに愛の手を差し伸べ、神様の愛を伝えました。
しかし、家の外の人たちを助ける前に聖女が行ったのは、身近な家族への愛の実践でした。私たちも聖女に倣い、身近な家族から愛の実践を始めましょう。・・・」
と、愛の実践を生きるようにと励ましの言葉を私たちに贈ってくださいました。
続いて、全校生徒の合唱「天の集いは」の澄んだ歌声から、感謝ミサが始まりました。
「一粒の麦」の聖書箇所の朗読の後、松浦司教様は記念日を祝う意味を話してくださいました。
「記念日の受け止め方には、2通りあります。1つ目は、アルバムを開いて思い出すこと。2つ目は、聖書に書かれている記念の意味。
聖書は、記念することが今と深い関わりがあると教えています。
今から56年前イタリアから2人のシスターが、聖バルトロメア・カピタニオの遺志を受け継ぎ、日本の子どもたちの教育の要請を受けてやってきました。
そして、聖バルトロメア・カピタニオは、今から約2000年前のイエス・キリストの遺志を受け継ぎ、目の前に困っている人々に愛の手を差し伸べながら、神の意志を自分なりに表してきました。
その全ての意志は、今日の皆さんに繋がっています。
私は25年前内戦が終わったカンボジアへ行ったときに、難民キャンプを訪れました。
そこにはたくさんのカトリック信者がいて、母親を中心にして祈っていました。
『家族がやっと口にできる食料しかないのに、昼は政府軍が来て食料を持っていき、夜はポル・ポト軍が村にやって来て食料を奪っていきます。』
と現状の苦しみを訴える母親に何が1番必要なものかと尋ねると、
『学校が欲しい。』という返事が返ってきました。
子どもは成長していく時に、人間らしく、共に生き、世界を広げていきます。
その時に、自分で選択しながら人間らしく生きてほしいから“学校が欲しい”という返事が返ってきました。
朝起きて何も考えず、流れの中で勉強をしていくと、損得の価値観しか身につけなくなります。
人間が人間らしく生きる柱、中心になるものを持って生きていってください。
この学校は、その生き方を教えていると思います。損をしても生きていく大事な生き方を、自分の柱、指針として身につけてください。」
記念ミサ後、3月にイタリア研修をした生徒たちから研修の報告がありました。
「神を信じる生き方」というテーマで、聖バルトロメア・カピタニオと聖ヴィンチェンツア・ジェローザの生き方に加え、アッシジの聖フランチェスコと聖クララの生き方がパワーポイントを使って紹介されました。
神を信じて生きた人たちは、他者の幸せのために自分の生涯を捧げる生き方。
その生き方が「一粒の麦」のように、たくさんの人々に人間らしく生きる生き方を教えていると伝えてくれました。
イエス・キリストの遺志が聖バルトロメア・カピタニオに受け継がれ、その遺志が今生きている私たちにも影響を与えているこの繋がりから、私たち一人ひとりは神様から大切にされている存在であることを強く実感させられた創立記念日でした。
目に見えない宝物
3月20日~29日、20名の生徒たちとイタリアの研修旅行に行ってきました。
ローマに到着し、迎えのバスに乗り込みホッとしていたら、雨がポツポツ。
宿泊先の修道院のホテルに近づき始めた頃には、土砂降りの雨に混じりあられも降ってきました。
石畳のローマの道を重いスーツケースを引っ張りながら歩くこと10分。やっと修道院のホテルに到着。
出迎えたシスターたちは、ずぶ濡れの私たちのことを心配し、生徒たちの重いスーツケースを各部屋に運んでくださいました。
このシスターたちの親切に、生徒たちはとても癒されたようでした。
イタリア滞在中の雨をこの時一気に頂いたようで、翌日から帰国するまで傘に一度も触れることがありませんでした。
イタリア滞在中の記録は、毎日Facebookに投稿されていましたので、私は生徒たちの様子から気づかされたことを紹介します。
「神様と出会った人たち」の生き方から、私たち一人ひとりにとって必要なものが与えられる旅行になればと祈りながら、10日間を過ごしました。
アッシジで聖フランチェスコ大聖堂を訪れ、彼がキリストと出会い、この世のものから離脱していく様子がジョットの描いた壁画から伝わってきました(写真撮影は禁止なのでお見せできなくて残念)。
また、中庭にある聖人のご像にはいつも生きている白いハトがいて、当時の聖フランチェスコの姿を私たちに伝えているようでした。私たちはご遺体の前で、静かに祈りました。
聖クララ大聖堂の地下を降りていくと、聖クララのご遺体が安置されていました。とてもきれいなお姿でした。
また、同じフロアーの反対側に聖女が使用していた衣服や道具が展示され、当時の聖女の清貧の生活がよく伝わってきました。
その中でも印象的だったのは、聖女が聖フランチェスコと同じ生き方をするために彼から長い金髪の髪を切ってもらったその髪を見た時でした。
とてもきれいで柔らかな髪を見ると、聖女が神への愛を生涯捧げたいという決心が伝わってきました。
ローベレの街並みは、聖バルトロメア・カピタニオと聖ヴィンチェンツァ・ジェローザが生きた面影を今も漂わせてくれていました。
このような片田舎で生活したお二人が、まさか日本から自分たちを慕って訪れてくるとは想像もできなかったでしょう。
また、聖バルトロメア・カピタニオが勉強するために通っていた聖クララ修道院を訪れた際、思いがけない出会いをすることができました。
それは、修練女の4人の若者たちが聖クララと同じ生き方をするために修道会に入ったお話を聞くことができたからです。
彼女たちは医師や数学・物理の教師、専門性を持って社会に貢献しているにもかかわらず、心から呼びかける声に従いながら修道生活を始めた経緯を聞く機会が与えられました。
ローベレから車で10分の所に、聖バルトロメア・カピタニオのおばあちゃんの家があります。
今回運転手さんの間違いで、私たちは道の途中でバスから降ろされ10分以上路頭に迷っていた時にご親切な方に出会い、無事目的地の家に到着することができました。
おばあちゃんの家は中が改装され、現在は修道院と祈りの場になっています。
そこのシスターアニェージェから、聖バルトロメア・カピタニオがどうして人々を愛することができたのか、その秘訣を3つ教えてもらいました。
1つ目は、神様が創ってくださった大自然の素晴らしさに気づき、その偉大な庭に住まわせてもらっていることに気づくこと。
2つ目は、自分の心の深いところから聞こえてくる声に耳を傾けること。
3つ目は、自分を信じ、確信を持つこと。この3つを持つことによって、人々を愛することができたことを話してくださり、シスターは私たち一人ひとりの頭に手を置いて、そのような生き方ができるように祈ってくださいました。
ミラノにある本部修道院で、イタリア研修で得たものを分かち合いました。
ほとんどの生徒たちは、自分を知ることの大切さや自分を大切にすること、カピタニオの偉大さと本校の生徒である誇り、信仰や祈りの意味などが心に響いたようでした。
そして、この時期、この年齢だったからこそ、イタリア研修に参加できたことに心から感謝していました。
見えない宝物が、心の中にしっかりと納まったように感じました。