2018年8月|聖カピタニオ女子高等学校|豊かな人間性を持つために

「2018年08月」の記事

「いのち」の主役は、わたし!

 平成30年度1学期は、無事終了しました。

1年生にとって初めて経験する事ばかりでめまぐるしい日々だったと思います。

その中で、修養会の経験は生徒たちにとって新鮮で自分と向き合うことを体験できた行事になり、思い出深いものになったようです。

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 生徒たちが感じた修養会の感想を読み終えた今、生徒たちが感じたことを分かち合いたいと思います。

分かち合いは、物事の本質を深くとらえることができます。

日頃忙しくして生きることを深く考えない私たちに、生徒たちの気づきが私たちを立ち止まらせ考える時間を与えてくれるでしょう。

 

j29_3614*スマホがないだけで、こんなにたくさん話せるんだ!お菓子がないだけで、おいしいご飯がたくさん食べれるんだ!と気づくことができました。

そして、空いている時間に自分が苦手だなと思っていた子とたくさんお話をすることができ、いい機会を持つことができました。

自分の一方的な判断で、この人は多分合わないと思うという思考をやめていきたいと思いました。

金子神父さんや福井先生から「人間」についてのお話が聞けて良かったです。

「人間とは何か?」「私は誰?」という疑問についても深い考えを生み出し、とにかく私たち“人間”についてよく考えた3日間でした。

 

j35_3620*修養会を終えて、私の弱いところは、誰かと比較してしまうことだと分かりました。

比較するということは、人間の「クセ」だと金子さんが言っていました。

私は授業でも自分の書いた意見が間違っているのではないかと、いつも誰かの意見を見て似ているようなことを書いているか確認してしまいます。

でもこの修養会での話を聞いて、考えが変わりました。友だちと意見が違ってもいいことに気づくことができました。

自分は自分の意見をしっかり持ち、相手に伝える、それができるようになりたいと思うことができました。

 

j33_3618*私は自分を見つめ直すとか、本当の自分を知るということが苦手でした。

昔からうわべだけの関係の友達が多く、私を受け入れてくれる人が居なくて、その原因は自分自身にあることぐらいは分かっていたから、自分の悪いところなんて知りたくないと思っていました。

しかし、この修養会でわかったことがあります。まず、自分を認めてあげること。

私がまず私を分かって愛してあげないと周りから愛をもらえないことを知りました。

性格的に良いところは認めるけれど、悪いところも含めて自分だと認めてあげることで、なんだか少し心が軽くなって次に進める気がしました。

 

j17_3174*「人が独りでいるのは良くない。」という言葉は確かにと思った反面、その後にあった金子神父様の話の中で、「孤独と向き合うことで、それが人間の価値をつくる。」というのがあったので、孤独になることも自分にとって必要なことだと思った。

自分はたくさんの関わりの中で生きている。

家族、友達、先生など、たくさんの人の支えで生きることができているのだと改めて実感した。

生きることは無条件に愛されることであり、「ありがとう」と言うだけの小さなことでも「愛する」ことなんだと分かった。

人間には誰かの愛が必要であり、それをお互いに求めている事も分かった。

「あなたは私の愛する子」とあるように、自分は独りではないし、たくさんの人に支えてもらって生きていることを忘れないで、これから過ごしていきたい。

そして、自分の弱さは責めるのではなく、認めることによって、日々の生活はもっと楽しくなると思った。

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 毎日の生活から離れ、非日常生活に身を置くことは人間にとって大切な時間であることを、生徒たちの感想から気づかされますね。

今年の高校生活入門セミナーの保護者コーナーで少しお話させていただきましたが、キーワードは「主体的」ですね。主体的に行事に参加したからこそ本人が気づきを得、次のステップの方向性や手段について考えることができます。

人生の主役は、誰でもない「わたし」です。

社会に振り回されて生きるのではなく「主体的」に生きることを学ぶ機会が、本校にはたくさん準備されていますね(笑)。

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共に生きる喜び!

 今年も滋賀県にある「止揚学園」を、22名の生徒たちと一緒に訪問することができました。

IMG_3840毎年感じることは、いつもと変わらぬ温かい心で迎えてくださることです。

大歓迎をして迎えてくださる止揚学園の方々に、緊張した面持ちの1年生たちはどのように接すればいいのか戸惑った様子でした。

彼女たちの思いは、脳に重い障害を持っている人たちの施設というイメージでいたので、このように温かく迎えてもらう事は想像もつかなかったと思います。

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 園長の福井生先生から

「願いは祈りになる。人間は独りだけで生きていくと孤立していく。仲間の人たちは一人では何もできないけれど、私たちに笑顔を与えてくれる。だから、仲間の人たちと共に歩んでいくことができ、みんなの命を守っていこうという1つの祈りになっている。」

というお話を伺った後、おいしい昼食の時間。

IMG_3693昨年参加した2年生の生徒たちは、止揚学園の食事のおいしさを知っているので、この食事時間を楽しみにしていました。

昼食のメニューは、冷やしそうめんでした。バナナの葉の上に並べられたそうめんを、おいしいつけ汁で頂き満足した後、先生たちの歓迎イベントが始まりました。

IMG_3727それはホールの中で、流しソーメン大会が始まったのです。生徒たちも加わり、大はしゃぎ。本当に楽しい食事でした。

ちなみに、夕食は「鶏ごぼう飯」、翌日の昼食は「酢豚」でした。本当においしいお食事で、皆の顔から満足の笑みがこぼれていました。もちろん私も生徒たちと同じです(笑)。

 

 IMG_3721食後は、2年生による「エビ、カニダンス」が披露され、生徒たちは少しずつ止揚学園の仲間たちの中に溶け込み始めました。

止揚学園の先生の指導の下、生徒たちはプールで仲間の人たちと楽しそうに遊んでいました。

 

 止揚学園の大きな目的は、夜の分かち合いです。生徒たちが体験して気づいたことを、皆で分かち合います。

IMG_3681止揚学園には、全国からたくさんの学校の生徒たちが訪れます。

それぞれの学校の特徴があるそうですが、聖カピタニオ女子高校と言えば「分かち合い」と、止揚学園の先生から言われ、私自身その言葉に驚かされました。

なぜなら、分かち合いは、生徒たちにとって必要と思いしていたことが、他の学校とは違うことに驚いたからです。これが本校の教育の特徴であることを、再確認できました。

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 1年生の生徒たちがこのイベントに参加した理由は、ほとんどが修養会でお話してくださった福井先生のお話を聞き、どのような施設なのか、自分の目で確かめたかったからと言いました。その感想をまとめて紹介します。

 

IMG_3981*脳に重い障害を持っている人たちのことを、「仲間の人たち」と言っていたことに驚いた。その言葉によって、止揚学園では、先生たちと障害を持っている人たちは「平等」なんだと思った。

中学校の時に行った他の施設は、利用者と指導者という立場がはっきりしていた。しかし、ここは相手の立場に立って話したりしている。

 

IMG_4008*脳に重い障害を持った人たちのいる施設だから、話が通じないと思っていた。

しかし、止揚学園の人たちは話せなくても、自分の思いを体で表現してくれたし、自分の方からいつも声をかけてくれた。

 

IMG_3744*私は他の施設に行った時、叫んでいる人を見て嫌な気持ちになり、そこで一緒に食事をしたり、そこの人たちがふれたものに触るのも嫌だった。

でも、ここに来て皆さんの温かい思いに触れ、以前のような気持ちがなくなっていた。

 

IMG_3951*私の親戚に障害を持っている子がいて、どのように関わればいいのかわからず、その子と関わることを避けていた。

しかし、ここに来て皆さんと接して、親戚の子との関わり方を学んだような気がしたから、今度から避けずに関わりを持つようにしようと思った。

 

IMG_3863*障害を持っている人に持っていた偏見が崩れた。

みんな自分を持って、それぞれ表現しているのを見て、私は自分を偽って生きてきたことに気づかされた。

自分を偽っていると疲れる。ここに来ると、素直な自分になれて嬉しい。

 

 毎年訪れる止揚学園で、毎回新しいことを発見させてもらっています。

今回は、食後にみんなで交流する場があり、一人の人にマイクを向けてお話をする場面がありました。

その人はマイクを自分で持ち、自分の気持ちを言葉にならない言葉で表現した後マイクを離そうとせず、職員の方が何回かマイクを受け取ろうとしていましたが、言葉を強めるわけでもなく、その人が満足するまでマイクを持たせていました。

私はその様子を見て、その人を尊重するという意味を教えられました。

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 1泊2日の短い期間でしたが、生徒たちも私も共に生きることの幸せを体験できた時間でした。

止揚学園の仲間の人たちが素直に自分を表現でき自分らしく生きているのは、職員、利用者に関係なく、共に人間としてお互いを支え合って生きているところから生れてくるものだと学び気づかされた訪問になりました。

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