「2018年11月」の記事
「いのちの学習」を終えて
3年生の高校生最後の「いのちの学習」は、10月18日に行われました。
講師は丹羽咲江先生です。先生には各学年でお話していただいている関係で、3年生に対しては社会に出ていく生徒達のことを考えてお話をしていただきました。
毎年先生のお話を聞いていても1年たつと忘れてしまうから、また聞けたことに感謝するという内容の感想を、多くの生徒が述べていました。
今回、先生は1・2年生からのお話を復習しながら、社会人として知っておくべき妊娠について、精子の働き、卵子の働き、受精卵からヒトへと成長し誕生(出産)する様子を3D映像を使いながら分かりやすくお話をしてくださいました。
妊娠適齢期を知ることによって自分の人生設計をたてることや、SEXはコミュニケーションだから、2人で段階を踏みながら親密さを育てていき妊娠について話し合った結果の最後の段階であることなど、先生の話し方は女性の先輩として、またドクターとして生徒たちの心に伝わってきました。
咲江先生のお話も最後とあって、生徒たちは真剣にお話を聞き、次のように感想を述べてくれました。(抜粋)
*人間の脳を説明する時に、カエルと猫の脳の働きと比較しながら話してもらい、人間の脳の働きである、思いやることができる相手を見つけたいと思ったし、自分も思いやりの気持ちを大切にしたいと思った。
*私は子どもが欲しいと思っているので、今日のお話は将来自分も体験することになるが、パートナーとしっかり話し合い、子供を育てられる準備を整えることが大事であることが分かった。
自分が幸せに、健康に生きるためにも、正しい情報で知識を学び、正しい判断、行動をとれる人になりたい。
*今の自分にとっても、これからの自分にとっても、とても学ぶことが多くあった講演会だった。
1回だけだったらとか、自分は妊娠しないだろうなんて軽い気持ちを絶対持たず、自分の体は自分がしっかり守れるようにしないといけないと思った。
実際に中絶をした人の話を聞くと、自分ひとりじゃ押しつぶされてしまうくらいの罪悪感を感じることや、毎日思い出すという言葉に、たった一度の性行為で自分の人生を捨ててしまわないように、きちんとした知識を持っていたいと思った。
*この講演会では自分が成長していく上で起こりうる状況について解決策や対策を考えることができた。
例えば、レイプされたらどうすか、子どもが欲しいと思った時にどの年齢で結婚すべきか、もし妊娠したらどうやってストレスを抱えないように生活していくかなど、今まで考えもしなかった女性としての将来のことを考えるきっかけになった。
*今日のお話を聞いて、改めて赤ちゃんが生まれるって、すごいことなんだなと感じた。
だからこそ、望まない妊娠で悲しむことがないように、相手任せにせず、自分の身は自分で守らなくちゃいけないと思った。
*自分が成長し年齢を重ねていくにつれて、「いのちの学習」が自分にとってとても大切だという実感がわいてきた。
今後の生活で人間関係も身体的な問題も関わってくるため簡単なことではないかもしれないけれど、取り返しのつかない過ちをしないように心がけていきたいと思ったと同時に、自分自身を大切にしていきたいと思った。
*特に印象に残ったことは、ピルにはたくさんの種類があることだった。
今まで一種類しかないと思っていて、今回の話を聞いて本当に良かったと思った。
また、受精した時から「人間」であり感情を持っていることを聞いて、改めて人間について考えさせられ、妊婦にとって環境がどんなに大切かが分かった。
*命の誕生の素晴らしさに、改めて気づいた講演会だった。
「今この世界にいることが奇跡」という言葉の意味に、とても納得した。自分の体は自分で守り、大切に生きていこうと思った。
*女性と男性の性に対する考え方を感じたので、嫌なことは嫌とはっきり伝えること、相手としっかり会話をすることが大切だと思った。
こういう話題を男女で直接話し合うことがないし、女子高だから男子と話をすることすらあまりないので良い機会だと思った。
男性側が知っていると思って相手に任せてしまう話をよく聞くが、実は男性も正しい知識を持っていないことも多いことに気づいた。
相手に任せずに、きちんと二人で知識を共有して話し合って決めていかないといけないと感じた。
この「いのちの学習」の時間は、学年の教員も参加します。
職員室で感想を述べ合うことがありますが、ある男性教員は、「男性にもカピタニオでやっている授業をさせればいいのに。」と男性の立場からの本音を呟いてくれました。
私自身、ずっと願っている事だったので、とても嬉しく二人で今後の教育について夢を語り合いました。
本校で学習した生徒たちが学んだことを、将来出会うパートナーに伝えてくれればと願っています。
「性は生きること」と言われますが、この高校生の時期は、「性」について悩む時期です。
本能のままに行動をし、大切な自分の人生を壊す可能性を秘めているので、この時期だからこそ、このようなお話を聞くのは、とても大切なことだと思っています。
丹羽咲江先生が、「自分が幸せに生きる」権利があると言われた言葉を、生徒たちがしっかりと心に刻み、これからの人生を歩んでもらいたいと思っています。
私たちの託されたバトン
11月は、カトリック教会では、死者の月になっています。
それにちなんで、本校に関わりのあった方々のご冥福を祈る慰霊の集いを、10月25日(木)の全校朝礼で行いました。
司式をしてくださったカトリック春日井教会の北向修一神父様は、次のようにお話をしてくださいました。
「全日本実業団対抗女子駅伝予選会(福岡県)で、岩谷産業の第2区岩田玲(19)が残り約200mで走ることができなくなり、四つん這いでタスキを渡したニュースがありました。
単なる美談か、大会ルールの問題かはさておき、選手が渡されたバトンは大変な重みがあり、なんとしてでも送り届けなければならないという姿は、たくさんの人の目に焼き付きました。」
と始められた神父様は、今日朗読されたヨハネによる福音書14章1~6節の、イエスから託されたバトンを弟子たちが受け取ることができない様子の描写にちなみ、幼稚園の運動会の園児たちのリレーの様子を話されました。
「幼稚園でもリレーは人気で一刻も早くバトンを受け取ろうとウズウズしています。
渡す方も必死で一瞬でも早く渡そうと張り切っています。
競争やレースを人生に置き換えるならばスポーツのように簡単にはいきません。
両親の言うこと・先生が教えること・先輩の指導など私たちはいつも誰かから大切なものを引き継ぐように託されています。
ところが人生とか生き方は受け取る私たちの心が育っていなければ、正確に受け取れません。
何よりそれが正しいことで受け入れていいものかどうか、自分にその資格があるか悩み、自信がないのは当然なことです。
高校生活はその模索の日々と言っても過言ではありません。」
とお話が続きます。
「聖バルトロメア・カピタニオは修道会を創立した後すぐ亡くなり、そのバトンが聖ヴィンチェンツァ・ジェローザに渡された時、受け取った彼女は『自分には無理』と思いました。
しかし、自分の考えではなく神の思いに沿い、そのバトンをしっかり受け取ったからこうして一粒の麦が豊かな実を結ぶことができました。」
「慰霊する私たちも心はまだ発展途上ですが、天国に先立ったシスター方・先生方・生徒の皆さん・本校に手助けしてくださった方々は、私たちを今でも天国から見守り大切なバトンを渡そうと願っています。
聖カピタニオ女子高等学校で学んだことをあなたがたにも伝えて欲しい。
愛徳(カリタ)を大切にする心で、たくさんの人たちを助けてより良い高校生活を送ってほしいという気持ちを感じてもらえたら、私たちの心は自然に祈る心が生まれます。」
とお話を結ばれました。
理事長先生から本校に関わった方々のお名前を読み上げられましたが、今年もその名簿に名前が加わりました。多くの方々の思いは時間の流れの中で、永遠に受け継がれていると思うと、まさに神様の働きですね。
この慰霊の集いの前に、宗教の授業の中で各クラスの慰霊祭を執り行いました。
いのちは受け継がれていることを話しましたが、“今私が存在している”前にどれだけの方々が自分の命を生きていかれたか、その中のお一人でも欠けると自分は今ここにいないことを話しました。
生徒たちが、自分たちが生かされているということに少しでも気づき、毎日の何気ない小さなことに感謝できる心が育っていくように祈ります。