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誰かの為に・・・
本校創立50周年学園祭生徒会企画の講師として、北京オリンピックのシンクロに出場された石黒由美子さんをお迎えしました。石黒さんは小学2年生の時交通事故に遭われ、顔の表面を500針以上、口の中を200針以上縫う大変な怪我をなさいました。その石黒さんが北京オリンピック出場に至るまでの、現実をしっかり受け止めてこられた過程を、笑顔でユーモアを交えながら私たちに話してくださいました。あれだけの事故に遭いながら常に前向きで生きてこられた一つの大きな要因は、お母様の存在の大きさだと思いました。娘の可能性を信じ、娘と共に歩む生き方のお話を伺いながら、私自身が日頃関わっている生徒たちの関わり方を考えさせられました。無償の愛が由美子さんに注がれているから自分を大切にし、「誰かのために頑張る」ことができ、目の前にいる人を大切にする生き方が出来ることを教えていただきました。生徒たちも石黒さんからたくさんのメッセージをもらいました。以下、生徒たちの感想を抜粋します。
石黒さんが今まで経験したことに比べたら、今私達が悩んでいることは本当に小さいことなんだなと思いました。少し考え方や捉え方を変えるだけで気持ちも楽になるし、ポジティブになれることがわかりました。また、どんなに辛くても諦めないことがどれだけ大切な事かも思い知らされました。(1年生)
- 由美子さんが前向きに夢を追いかけ、由美子さんのお母さんが全力でサポートしている姿を見て、由美子さんの弟妹は自分たちも誰かの為になることをしようと思ったのだと思います。石黒さんのご家庭は、本当に幸せな家庭だと思います。お金がなくてもそれぞれ一人ひとりが家族のために頑張っていて、これこそ理想の家庭だと思いました。私も由美子さんのお母さんのような立派な母になり、素敵な家庭を築きたいと思います。(1年生)
- 自分の可能性を信じて生きていきたいと思いました。病気というものに振り回されずに、自分のやりたい、叶えたいことをしていくという生き方があるんだと思いました。私も周りにいる私を支えてくださる方々、関わった全ての人々に感謝し、一人でいきているんじゃないという事を忘れないようにしたいと思いました。(1年生)
- 石黒さんは大変な事故に遭われたのに、あんなに明るく生き生きとして凄いなと思いました。その明るさは、お母さんのお陰もあると思います。「楽しい家族です」と言っていらっしゃいましたが、今日の石黒さんを見て本当に楽しく過ごしているんだなあと改めて感じました。・・・自分の夢の為にできなかった勉強を頑張って夢を実現することができた石黒さんを尊敬します。(2年生)
- 石黒由美子さんのお話を聞いて、今まで辛いことや大変なことがあったけれど、その中で努力して掴んだ幸せがあることを知りました。・・・・私が今悩んでいること、困っていることは石黒由美子さんに比べればどうってことなく、むしろ見方や、やり方を変えていけば解決できることを学びました。そして、その解決できることをいつも支えてくれているのは、親(家族)だという事を忘れないことも大切だという事も学びました。(2年生)
- 石黒由美子さんの前向きな考え方は、素敵だなと思いました。誰もが辛いと思ってしまうことでも、明るさで幸せに楽しく変えられるなんて驚きました。あそこまで人生を楽しめる人はそういないのではないかと思います。夢をあきらめないで、大学に進学したり、オリンピックに出たりするのは、不可能ではないのだと思い、やる気というか勇気が出た気がします。(2年生)
- 私は一つ嫌なことがあると、全て悪い方向に考えてしまう事があります。どんなに小さなことでも、とにかく気にしすぎてしまって、その日一日中嫌な気持ちで過ごす・・・という事がほとんどです。石黒さんがおっしゃった「人生は明るく過ごさないと損だ」という言葉が心に残りました。私はどんな些細な事でも悪い方向に考えてしまうのが癖になっているのだと思いました。・・・・一日を楽しくするのは、全て明るく考え、石黒さんのように自分の意志と夢を持ち続けていく事だと思いました。(3年生)
- 石黒さんのお話で何度も出てきた「夢ノート」とても素敵なものだなと感じました。「ありがとうございます」という感謝の気持ちを込めて赤線を引いていく、凄いなぁ、私にもできるかなぁと思って早速作ってみました。また、石黒さんのお母さんのお話、家族って本当に大きいなと感じました。温かい家庭は、ものすごく安心できます。私にももちろんあります。とっても大好きな家族です。(3年生)
- 石黒さんはどうしてあんなに笑顔でいられるのでしょう。それは、石黒さんのおっしゃっていた通り、周りの人たちの支えがあったからだと思います。それを聞いて、やっぱり人間は一人では生きていけないと改めて気づかされました。私も家族や友達にすごく助けられているし、私もその人たちの支えになれたらいいなと思いました。石黒さんは奇跡をたくさん積み重ねてきました。一生懸命な気持ちがあれば、その人が頑張っていれば、私も奇跡って起こすことができるんじゃないかと感じました。また、石黒さんは辛い経験をしたからこそ他人の痛みがわかるとおっしゃっていました。まさにそうだと思います。私も自分の味わってきた苦しみを忘れず、他人の痛みに寄り添えるような優しい人間になりたいと思いました。(3年生)
今回の講演会で、石黒さんと出会いお話を聞くことによって、幸せになるヒントをたくさんいただきました。「心を変えると世界が変わる」というメッセージ、5年先の自分、10年先の自分をイメージしながら今何をしなければならないか自主的に生きる「夢ノート」を多くの生徒たちが作ってくれることを願いました。
美しく咲く花ーSr.渡辺和子先生の講演会ー
7月13日(土)瀬戸文化ホールに、本校創立50周年記念講演会に参加するための整理券をもらう人たちが、朝早くから訪れていました。幸い曇り空で心地良い風が吹いていてホッとしました。
「置かれた場所で咲きなさい」の本は、ベストセラーになっているだけあって、大勢の一般の方々がSr.渡辺和子さんのお話を聞くために集まってくださり、瀬戸市文化センターの座席もほぼいっぱいになりました。
本校校長小池芳樹が、Sr.渡辺和子さんの紹介をさせていただき、その後シスターが登壇されたとたん、待ってましたとばかり割れんばかりの拍手が会場に沸き起こりました。
高校生に話すつもりでいらっしゃったと思いますが、シスターは会場の人たちを見て、年齢層に合わせたお話をしてくださったような感じを受けました。「自分が変わらなければいけないこと」「幸せは人任せにするのではなく、自分が作るもの」「自分がしてもらえなかったことで不平を言うのではなく、その分自分からしてあげる」ことなどを、シスターのこれまで生きてこられたことを具体的に話してくださり、私たちに自分の花を咲かせる生き方を教えてくださいました。
生徒の感想を抜粋いたします。
- シスターのお話を聞き、心が少し楽になりました。私は部活動で日々練習をして辛いことがあっても、中々抜け出せないときがありました。でも、自分の置かれた場所が望んでいる状況でなくても、そこで自分なりに努力する事が大切なことに気づかせていただきました。先生や先輩、同学年と上手く付き合わないといけないプレッシャーを感じ、小さくなっている自分が嫌いでしたが、それも自分なので、少しでも置かれている場所で自分なりの花を咲かせればよいのだと思いました。(1年生)
- 「置かれた場所で咲きなさい」を聴いて、ぽっかりと空いた心の穴は今まで見えなかった他人の優しさを見つめさせてくれました。自分が死んでしまって一生を終えるとき残るものは、「集めたもの」ではなく「与えたもの」。この「与えたもの」という言葉は、すごくいい言葉でした。(1年生)
- 私はこの講演会があることを知った時から,母やおばあちゃんから「すごい人だよ」と聞かされていたので、「どんな人かな」ととても楽しみにしていました。実際シスターが壇上に出てきた時、「こんなにおばあちゃんなのに、今も大学で学生と一緒に過ごしてるって凄いな」と思いました。話を聞いた中で一番グッときたのが「見捨てられているものを見捨てないのが“キリストの愛”」という言葉でした。シスターの言葉は一つひとつ何か自分のどこかにグッとくるものがありました。(1年生)
- シスターの話で印象に残ったのが、「不機嫌は環境破壊」という言葉でした。家族の中で誰か一人でも機嫌が悪いと、家族内での雰囲気が悪くなることが私の家でもよくあるなと思いました。どんなにイライラしても朝起きた時の「おはよう」の一言や「ただいま・おかえり」などちょっとしたことだけれど、それがとても大事なことだという事がわかりました。なので、イライラしていても挨拶は必ずしようと思いました。(2年生)
- 渡辺和子さんはライトのせいなのか、オーラが満ち溢れているのか、凄く輝いて見えました。最初に発した穏やかで優しい口調は興味を更に持たせ、神様のような方だと思えてきました。渡辺和子さんのお母さんは何て素晴らしい人なんだろうと思いましたが、お母さんの発した一言一言をシスターは感じ守っていたんだなと感じました。家族に対する言葉遣い、感謝し喜び祈って自分のこと、周りの人間との関係を大切にしていきたいと、また強く感じられました。(2年生)
- シスターがおっしゃっていましたが、私は「?のせい」とよく使っていることに気づきました。自分も使っていて、“だめだな”“甘えている”と思いました。「?のせい」を「?のおかげ」に変えること。それで自分がプラスになる。言葉一つで人は変わることを学びました。それは、今からできることです。部活動でもこのことを意識して行動をとっていきたいと思いました。(2年生)
- この前、ウマニタスの授業で、「他人を変えることは難しいが、自分を変えることは簡単。」という事を学びました。だから、自分から笑顔で挨拶をしたり、自分がしてもらいたいことを相手にしてあげたいなぁと思います。もし相手から返ってこなかったとしても、自分からすることが大切なので、今この気持ちを大切にしていきたいです。自分の気持ちで“幸せが決まる”という言葉を信じて、自分の気持ちから変えていきたいです。(3年生)
- 私が一番心に残っているのは、シスターのお母さんの「今が幸せではダメ。将来幸せになって。」という言葉です。今、一時の幸せで将来の幸せが減ってしまうなら、我慢しなければならないと思います。この言葉は、今の私にすごく重く感じられました。今辛くても誘惑に負けず勉強すれば、大学に行ける可能性も高くなります。今辛くても、今の辛さ以上に将来頑張ってよかったと思えるように頑張りたいと思いました。(3年生)
- シスターのお話を聞いて、まず思ったのは不平、不満を言うだけでは何も変わらないという事です。不満を言うだけでは自分の置かれた状況は、変わらないと思いました。自分にとってどんなに苦しい状況に置かれても、それに対応できる柔軟さが生きていくためには必要なのだと感じました。本当に強い人というのは、その柔軟さがある人のことだと感じました。昔読んだ本に「何もしないでいては勝てない。立ち上がれ。戦わなければ勝てるわけがない。」という言葉があったのを思い出しました。シスター自身もひねくれていた事など、私たちが身近に感じられるような話をしてくださって分かりやすかったし、いろいろな苦労をされたからこそ、置かれた場所で咲くことができたんだなぁと思いました。(3年生)
シスター渡辺和子さんとの出会いは、生徒たちがこれから歩む道の光、導きになったと思います。そして何より、シスターは人間としての美しさを持つ女性であると、お人柄に接して思いました。私自身もシスターのお話を伺い、神様が私にとって一番いい場所に置いてくださり、自分を生かしてくださっていたことに気づかされました。このように生徒たちもシスターのお話を心に留めて、一回限りの人生を自分らしく生きてほしいとしみじみ思いました。
生徒の想いは・・・。
創立50周年記念式典も無事終え、先週は中間テストが行われました。テスト期間中の私の仕事は、生徒たちの宗教のノートを読みコメントを書くことです。ノートに書かれている感想を読むと、初めて宗教という授業を受けた戸惑いや安心感を持った様子が伝わってきました。聖書を読み、お話をただひたすら聞く授業と思っていたのと違っていた、という思いでした。生徒たちの創立記念日に参加した感想をお伝えします。
入学間もない1年生は、式典で合唱するイタリア語の「ラ・カリタ」を覚えることから始まりました。約1か月で聖歌やミサ曲を歌いこまなければならず、音楽科の教員は時間を見つけて一生懸命に指導していました。その熱意が生徒たちに伝わり、疲れた様子を見せず一生懸命に練習している姿を見て、私は式典の当日、素晴らしい合唱が聴けると確信しました。生徒たちも当日の2年生、3年生、聖歌隊の美しい歌声を聴き、その歌声に合わせて今まで以上に歌いきった達成感で、これまでの練習の疲れが報われたと感想を述べていました。
また、感謝ミサに与かるのも初めての体験。ローマ教皇庁大司教様や名古屋教区の司教様の姿を見て圧倒されていました。会場の人たちが心を合わせて祈る素晴らしさ、会場が愛に包まれた瞬間だと感じたそうです。生徒にとってミサは外国の祈り方というイメージを持っていたらしく、会場には外国の方々の姿も見られたり、挨拶の仕方も外国式だったので、日本にいながら外国にいる感じを受けたそうです(笑)。本校に入学したから味わえた体験だと満足し、50周年の節目に入学できたことを感謝していました。
創立記念日を祝った後、中学校へお花を届けに生徒たちは出かけていきました。中学校の先生方に暖かく迎えていただき、生徒たちは高校の様子を話し感謝の気持ちをきちんと伝えることができました。中学時代の自分とお別れできた生徒もいれば中学時代に戻りたくなった生徒もいました。中学の先生方から「大人っぽくなったね。応援しているよ。」と言われ、愛情をかけてもらっている自分の存在と中学校のよさを再発見できた日になりました。
時間を超えて生き続けるもの
5月14日、本校は創立50周年を迎えることができました。50周年のありのままの姿を見ていただきたく、施設が不十分なことを承知で式典並びに感謝ミサは、本校のカリタスホームで行うことにしました。この日を迎えることができましたのも、教職員と生徒たちのおかげです。そして、私たちの目に見えないところで私たちを支えてくださっている多くの方々のおかげです。この多くの方々のおかげで、私たちは50年間学校の日々の営みを続けることができたのです。この世に存在している生徒たち一人ひとりは、神様から使命をもらっています。生徒に寄り添いながら、生徒たちが自分の使命を見つけ社会に貢献できる女性になっていく事を手助けできる喜び—-。その喜びを感じられた瞬間でした。
1803年北イタリアのローベレで生を受けたバルトロメア・カピタニオは、自分が生まれてきたことの使命に忠実に生きていきました。その結果、全世界20か国で聖女の遺志が奉仕の形で脈々と受け継がれています。その種がイタリアを遠く離れた日本でも実を結んでいるとは、聖女自身考えもしなかったことでしょう。神様のなさることは、人間の考えをはるかに超えていますね(笑)。
創立記念日当日は、生徒たちのおもてなしの心が校内に溢れていました。式典のステージは、50本のユリで本校の歴史を表し、緞帳が上がるとそこには校舎が建設される前の青々とした高嶺山をイメージできるように緑を多く配しました。クラスの宗教委員の手によって捧げられた色とりどりの花は、生徒たちを表しています。校舎にいのちを与えるのは、生徒たち一人ひとりです。さまざまな花で飾られたステージに更にいのちを与えてくれたのは、生徒たちの歌声でした。歌声が一つになり会場の人たちを温かく包み込んでくれ、一人ひとりの心に神の愛が注がれたように感じました。まさにカリタスホームに大輪の愛の花が咲き誇り、カリタスホームの屋根や壁を吹き飛ばしそうな迫力を感じました(笑)。
「一粒の麦」の生き方の模範を見せてくださった聖バルトロメア・カピタニオに倣い、私たちは聖女の遺志を継ぎながら学校に新たなページを作り続けていきます。時代は変化していきますが、その中でカピタニオ生たちは変わらない愛の奉仕を社会で生き続けていくことでしょう。