「2015年01月」の記事
2015 年頭にあたり
明けましておめでとうございます
穏やかなお正月を迎え、今年はどのような年にしようか、今年こそはなどと、各ご家庭でも皆さんお一人おひとりが誓い、計画を立てたことと思います。
今日の始業式でお話したことをここで紹介します。
今年の干支は、ヒツジ。年賀状にはヒツジのかわいらしい絵や「未」「羊」などの漢字が描かれていたかと思いますので、今日はヒツジにまつわるお話をします。
まずは「未」という字。木の上の方に細く小さな枝が育ちつつあります。木のまだのびきらない部分を描いたところから、「いまだ…(せ)ず」の意味。その行為や経験などが、まだ熟していないことをあらわします。 今のところは見えにくく目立たないけれど、これからもっと成長する。そこで「未」はまだ熟しきらない成長途上の植物を表しています。つまり未熟の未という意味です。
では「羊」と言う字はというと、ヒツジの頭部を描いた字で、つのの特色をよく表しています。羊の肉は古代から最もたいせつな栄養食であったので、「羊+食」を合わせて栄養の「養」という字ができました。またヒツジの姿は、やさしく堂々としているというので、「羊+大(りっぱ)」を合わせて美という字ができました。ひつじは犠牲(いけにえ)にも食用にも供するとても大切な家畜でした。
また羊は群れをなすところから「家族の安泰」を表すとされ、いつまでも「平和」に暮らすことを意味しています。
さて、今年は2015年。1945年の終戦から数えて70年目を迎えます。世界平和を誓ったはずなのに、今もなお世界のある地域では紛争、テロが繰り返されています。
太平洋戦争末期の沖縄戦に動員され、多くの女子生徒が犠牲になった「ひめゆり学徒隊」の生存者で、戦争体験を伝える「語り部」として、またひめゆり平和祈念資料館の副館長として、中心的な役割を担われ、精力的に活動を続けてきた宮城喜久子さんが、先日亡くなりました。86歳でした。5年ほど前でしたか、修学旅行で生徒たちと一緒に宮城さんの講演を聴いた後、直接お話をさせていただいた時、「みんな年をとり、多くの戦争体験者がこの世を去っていきます。2度と起こしてはならない戦争の悲惨さ、記憶や教訓をどう語り継いでいくのか。それが大きな課題です。今、生存者の証言を集めているところなんですよ。」とおっしゃっていました。2年生の皆さんが修学旅行で観た証言ビデオはそんな宮城さんの心が刻まれていると思います。
年頭にあたり、今一度平和について真剣に考えたいものです。