2023年1月|聖カピタニオ女子高等学校|校長ブログ

「2023年01月」の記事

【朝礼の話⑥】【おすすめBOOK⑤】 「かたづけ」の力 ―『中高生のための「かたづけ」の本』―

シンビビューム

玄関でお客様をお迎えするシンビジューム

◇歩みだす◇

 今月の朝礼の話のテーマは「歩みだす」ということなのですが、私は学生時代、試験勉強とか受験勉強とか自分にとって大きなイベントへの取り組みを開始する前に、部屋の掃除をするよう心掛けていました。すると不思議に何かが始まる、「歩みだす」という気分になります。

◇「かたづけ」は人生の大きな課題◇

 そこで今日は一冊の本を紹介します。『中高生のための「かたづけ」の本』という本です。岩波ジュニア新書として出版されています。私も片付けは得意ではなく、いつも苦労しています。日々の生活の中で「かたづけ」は大人にとっても大きな課題ですが、中高生にとっても意外と大切な課題ではないかと思います。

◇「かたづけ」は自分の今いる世界を変えること◇

 この本の中で一番印象深かった言葉は、「(かたづけとは)自分の思い通りに、自分の空間、時間、人生をつくり上げること」だという言葉です。一見大げさにも思えますが、確かに部屋を片付けるだけで、自分の力でその空間をすっきりとした気持ちのよい空間に変えることができます。

 この本に「かたづけ」ができないとどうなるかが書いてあります。①「時間を失う」、あのプリントどこ行ったっけとか「探す」時間はムダです。②「空間を失う」、ワークスペースが少なくなります。③人間関係を失う。返したつもりだった、人に借りたものが部屋のどこから出てくる、下手をすると信用を失ってしまいます。④⑤と知らず知らず失っているものはさらに列挙されています。

 「かたづけ」の作業では「分ける」(分類して整理する)ということがとても重要です。スーパーマーケットのように必要なものを必要な時にさっと取り出すことができれば、気持ちよく生活できます。具体的なかたづけのヒントもたくさん載っていますので、ぜひこの本を読んでみてください。

◇学習も「かたづけの力」が大切◇

 かたづけの力は、勉強でも重要です。というより勉強の大半は頭の整理だと言っても過言ではありません。頭の中に部屋があると想像してみてください。その部屋が雑然としていたら、覚えたことをすっと取り出すこともできません。心理学的にもそれは立証されています。忘れるのは頭の中から覚えたことが消えるのではなく、取り出せなくなった状態だということです。文章にしてみると自分の頭の中でモヤモヤしていたことが整理されるという経験もあると思います。頭の中にある考え(例えば雑然とした引き出しに入っている物)を一旦すべて「出す」→必要度や種類などの観点から「分ける」→必要なものを「選ぶ」、そうでないものは捨てて、→原稿用紙(引き出し)に「収める」。文章を書く手順は、この本にも書いてある、かたづけの手順(出す→分ける→選ぶ→収める)とまさに一緒なんです。

◇「分ける」=「分かる」◇

 私は定期試験の前に授業のノートとは別にテストノートを作っていました。ある先生も学生時代に同じことをしていたと聞きました。授業内容をもう一回まとめ直していたんですね。やみくもに頭の中にごちゃごちゃと入れるのではなく、整理整頓して入れていくということです。そうするとノートを作る段階である程度記憶できてしまい、定着度も高いのです。かたづけは時間がかかるけれどあとあと楽になるのと一緒で、このノート作りもそんな効果がありました。

 「分ける」と「分かる」は古語では同じ単語「分く」です。つまり「分ける」=「分かる」。分けて整理していくことによって物事を理解するのが人間の頭の仕組みとしてあるということを表わしています。かたづけの力を身につけると、快適に過ごすことができ、精神衛生上もよく、成績もアップすると思います。

校長 村手元樹

*2023.1.19 全校朝礼

ページの先頭へ戻る

より高く飛ぶためにはより低く身を屈めなければならない。 ―令和4年度3学期始業式のご報告―

まんりょう  感謝坂の頂上付近に生えるマンリョウ(万両)

新年明けましておめでとうございます。

 2学期の始業式は第七波の最中で放送による始業式となりましたが、3学期の始業式も第八波のため、放送による始業式となりました。始業式で生徒の皆さんにした話を紹介します。

◇卯年(うどし・うさぎどし)◇

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 令和5年(2023年)は卯年です。卯年に因んだお話を二つしたいと思います。まず卯年は兎の特徴から飛躍の年、向上の年、成長の年とされます。

 「飛ぶ」と一言で言ってもいろいろなスタイルがあります。兎は鳥とか飛行機のように羽根や翼を使って空を飛ぶのではなく、いわゆる「跳(は)ねる」、「跳躍」すること、足で地面を蹴って空中に跳び上がります。跳躍という漢字には両方、足偏が付いています。その意味で兎の跳び方は人間に近い飛び方と言えます。

 飛ぶというと一見華やかですが、飛ぶには結構な脚力が必要です。大地に足をしっかり付け、踏ん張って重力に逆らって跳ね上がるわけですから。

 出典は定かではありませんが、よく引用される格言があります。「より高く飛ぶためにはより低く身を屈(かが)めなければならない。(より低く身を屈めた者がより高く飛ぶことができる。)」という言葉です。飛ぶことの陰には地道な努力や忍耐があるという側面も忘れずに飛躍の年にしたいものです。

◇干支の本来の意味◇

 もう一つ、卯年に因んでお話しします。干支(えと)は、音読みすると「かんし」と読み、本来十干十二支(じっかん・じゅうにし)を合わせて干支と言います。今は一般的に「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」というふうに十二年で一回りをする十二支を指すことが多いのですが、もう一つ「甲乙丙丁戌己庚辛壬癸」というふうに十年で一回りする十干というものがあります。

 十二支の方は今年、四番目の卯年ですが、十干の方は今年、十番目の「癸(き)」の年、訓読みすると「癸(みずのと)」の年になります。従って今年の干支を正確に言うと「癸卯(みずのと・う)」の年ということになります。十干十二支の組み合わせは全部で60通りです。一見10×12で120通りと思いがちですが、10と12の最小公倍数で60通りとなるそうです。(どうしてそうなるか後ほど考えてみてください。)

 というわけで、卯年は12年後に再びやってきますが、次の「癸卯(みずのと・う)」の年は60年後ということになります。暦が一回りする、還暦という言葉はここから来ているんですね。

◇1963年は何の年か?◇

 さて、今年と同じ「癸卯」の年は60年前にもあったわけですが、それは1963年です。ここで問題です。1963年と言えば、何があった年でしょう? 分かりますか? そうです。我らが聖カピタニオ女子高校が創立した年です。

 ということで今年2023年、おかげさまで聖カピタニオ女子高等学校は創立60周年を迎えます。皆さん、ご愛顧ありがとうございます。改めて時代の重みを感じますね。

 ちなみに現1年生の方は60回生です。年が59週した後、60年目の最初に入ってきたということです。皆さんが一年間を過ごすとまるまる60年が経ち(六十周し)、我が校も今年新たな最初の一年を踏み出します。学校の発展は在校生・卒業生の皆さんの飛躍、向上にかかっています。皆さんの母校のために今年もともに頑張りましょう。

校長 村手元樹

ページの先頭へ戻る