「2009年06月」の記事
多田のサッカー教室-2009年6月増刊号
2009年6月27日(土)、豊田スタジアム芝生広場でついに長年の夢が実現した。
昨年度から全日本高等学校女子サッカー選手権大会が32チームのトーナメント方式で実施されるようになった。東海地区は全国大会開催地域という事で4つの出場枠がある。今年はその枠を愛知県3校、静岡県3校、岐阜県1校、三重県1校の8チームで争う事になり、1回戦突破で全国大会出場が確定する。
では、当日の試合を振り返る。情報のあまりない中でのゲームの立ち上がり。まずは失点しないよう、リラックスしてゲームに入るように指示。だが、やはり動きはいつも以上に増して固い。そしてファーストシュートは相手が放った。
両サイドを使った攻撃で何度もゴール前にボールが入るが、決めきれない。 同じリズムで、同じタイミングで、同じようなボールが入るため、相手DFが対応してしまう。これも全国に向けての課題の1つになる。
そんな中、前半20分、サイドから入ったボールをどこに当たったかわからないが、ふみかが身体ごと押し込み、待望の先制ゴール。前半終了間際にも愛子がボールをゴールに畳み込み、2対0で前半を折り返す。
後半に入っても本校のリズムで得点を重ねる。後半10分にはなが、15分にオウンゴールで得点し、4対0。この時、ゲーム途中にも関わらず、長年の苦労と苦い記憶、経験が一瞬、涙とともに込み上げてきた。正直このあたりの時間帯の記憶があまりない。
選手交代でふっと我に返り、また、チームを鼓舞する。するとコーナーキックから愛子が2点を立て続けに奪い、6対0とした。愛子はこの試合でハットトリックし、愛知県決勝での無得点の屈辱を見事に果たした。人知れずボールを蹴るなど影の努力が見事に結実した。少なからず、活躍の裏にはたゆまぬ努力があるものである。
しばらくして試合終了のホイッスル。ついにこの時を迎えた。自分自身の現役時代にも成し得なかった全国大会への扉を開いた。大きく、ぶ厚い、そして重い扉をみんなの力でこじ開けた。最新の銃器をいくつか集めて破壊したのではない。ピッケルを使って少しずつ少しずつ20年かけて突き破ったのである。
一昨年、昨年とかなり手応えがあったものの、あと少しの所が崩せなかった。それらを経験しているのが今の3年生である。やはり、富田戦でも3年生の力は莫大であった。 今回偉業を成し遂げた部員の中で、ジュニアユース世代に東海トレセン、ナショナルトレセンに選ばれた者は誰もいない。 県トレに至っても2,3人経験している程度である。それでも全国に出場できた事は正直誇りに思う。
ただ、全国で勝つには相当厳しいものがあるだろうが、愛知県の高校チームに勇気と希望を与えるためにも全力でチャレンジしたい。
話しを東海予選に戻すが、準決勝の相手は静岡県第1代表の常葉学園橘高校で、監督はご存知の吉田弘監督である。 我々にすればスター軍団。どこまで渡り合えるかという所である。リラックスした状態でゲームに入り、ボールは支配されるもののゴールは割らせない。防戦の中でも何度かチャンスが訪れる。ゴールには結びつかないものの、ベンチで見ている私の腰は何度も浮いた。
ところが、前半ロスタイムにクリアミスを拾われてシュート。キーパーが弾いた所を押し込まれた。0対1で前半終了。正直痛い失点であったが、後半に勝負をかける。 橘も選手を3人ほど入れ替え、勝負に来た。それでも展開は前半と変わらず、0対1のまま残り5分を切る。
このままでは終われない。パワープレーで勝負に出た。するとあわや同点シーンかという場面が訪れたが、詰めが甘い。逆にカウンターから1点奪われ、万事休す。そのまま試合終了。0対2で敗れたが、大善戦の準決勝であった。
続く3位決定戦は磐田東戦。前半に愛子が1点先制。後半の立ち上がりには、ふみかのヘッドが炸裂し2対0。その後、足がピタリと止まり、そこから3点を奪われ、2対3で敗戦。結局4位で東海予選を終えた。
言い訳にはなるが、35分ハーフの試合を2本、1日で消化するのにはやはり無理があり、選手を攻められない。 ただ、愛知県の意地は見せる事が出来たかと思う。
第18回全日本高等学校女子サッカー選手権大会の組み合わせ抽選会が7月6日(月)に日本サッカー協会で行なわれた(別掲)。
1回戦の相手は関東予選1位の湘南学院高校(神奈川)である。妻沼カップでは2度対戦があるが、いづれも敗れている(当たり前)。 失うものは何もない。ただ、東海地区の4位が関東地区の1位に勝ったら、えらいこっちゃ。
“あると思います。”
(財)愛知県サッカー協会女子委員会の方々、高校女子サッカーの先生方からも温かい励ましを受けた。八幡商業の中村先生、元教諭の戸田先生とも名駅で再会する。本校のPTA、マリエッタ会、瀬戸市などからも援助を受ける。 最高の夏になるよう全力を尽くす事をここに誓う。 全国を決めた当日に駆けつけてくれた生徒、先生、シスター、保護者、OGの方々、ここまで応援してくださった方々、悔しい思いをさせてきたOG達、亡くなられたSr.ジュゼッピーナ、中島章雄元校長、そして、わがままを理解してくれた家族、本当にありがとうございました。 多くの犠牲があっての今であることを決して忘れない。
多田のサッカー教室-2009年6月号
ついに高校総体、3年連続4回目の優勝を果たした。部員達は1つ1つの目の前の目標を次々とクリアしていく。現時点では申し分のない活躍である。
では決勝戦を振り返る。6月13日(土)16時45分、天候は曇り、湿度はかなり高い。ピッチは愛知東邦大学の人工芝。東名高速から見えるグラウンドである。
ゲーム開始からいいリズムで左右からの攻撃を仕掛ける。両サイドからいいボールが入るもののフィニッシュが決まらない。旭丘ディフェンス陣の身体をはった守りとゴールキーパーの頑張り、ファインセーブになかなか得点を奪えない。それでも前半30分、右サイドの愛子からの絶妙なセンタリングをふみかがヘッドで決め、均衡を破る。
このまま前半終了と思われた矢先に、左サイドバックのとも子がチャージを受け、負傷退場(右ひじ脱臼骨折)となった。 様子から救急車の要請も考えたが、本人を優勝の瞬間に立ち会わせたいと思い、ベンチに座らせた。
ハーフタイムでは修正すべき点を指示したが、とも子の分も頑張ろうという気持ちがチームの結束力をなお一層高めた。
ただ旭丘も決して諦めない。後半5分過ぎに最大のピンチが訪れる。不用意なバックパスを旭丘13番が奪い、ディフェンスを個人技でかわす。 キーパーと1対1になり、同点を覚悟した刹那、あんいのスーパーセーブが飛び出す。このプレーが流れを変えた。
そして後半10分にゆりがついに伝家の宝刀を抜いた。左足から放たれたシュートはきれいな放物線を描き、ゴールに突き刺さる。その1分後にも再現プレーを見てるかのようなゆりのシュートが突き刺さる。後半23分にはゆりのアシストからはなが決め、4対0。後半25分にはよしみがフリーキックを直接決めて5対0。その直後のキックオフでキーパーの集中力の欠いたプレーで失点したものの、ゆりが終了間際にハットトリックとなるシュートを今度は右足で豪快に決めた。
3年生を全員ピッチに送り出し(とも子を除く)、試合終了の笛を聞いた。点差以上に厳しい戦いとなったが、これがサッカーだろう。
保護者、教員、シスター、OG、指導者、サッカー関係者などたくさんの人が高校女子サッカーに興味を持ち、観戦してくれた。 以前に比べ、レベルアップした試合を見せることができたのではないかと思う。次は東海大会(愛知県開催)。 対戦相手は岐阜県代表の富田高校。最近創部された新進気鋭のチームで、岐阜県の予選は29対0で圧勝している。そのチームが愛知の決勝の観戦に訪れていた。本校の情報は十分に持っている相手に対して我々にはあまり情報がない。ただ、本校にはここまで培ってきた様々な経験がある。一昨年の東海大会の3位決定戦での雨中の戦いも忘れていない。昨年の東海大会の悔しさも忘れていない。それらを経験した3年生がいる。
今年こその熱い思いをすべてぶつける。 応援してくれるすべての人達のためにも。また、夢を追いかける事ができるこの状況に感謝しながら・・・。