
ハナミズキ(@カピタニオ・ガーデン)
◇いただきます◇
おはようございます。5月のテーマ「一粒の麦―感謝」についてお話しします。感謝を表す言葉の一つに「いただきます」があります。食事の前に感謝の気持ちを表します。日本では当たり前の言葉ですが、割と日本特有のもののようです。英語でもぴったりの言葉はなく、「いただきます」を和英辞典で引くと「Let’s eat.」などが出てきます。「いただく」は「食べる」の謙譲語なので動作としては同じですが、そこに敬意とか感謝が込められているのが重要な点です。
何に対する感謝かと言えば、まず食事を作ってくれた人に対しての感謝、それから「いのちをいただく」というように他の生き物や自然の恵みに対しての感謝、漁師さんとか農家の方とか、流通に携わっている方に対する感謝などいろいろ考えられます。目の前の食事の背景には、目に見えない実に多くの存在があります。だから「感謝」というのは、そういう「いのち」や労力に自分が助けられ生かされている、その繋がりを自覚するということではないかと私は思います。
◇感謝を反対から見ると◇
ところで、これを反対側から見るとどうなるでしょう。すなわち私たちに食事を提供している存在の側から見ると、そのいのちや労力が目に見えなくても他者の中で生きていると言えます。まさに一粒の麦の教えに通じます。
◇人を助けることが自分の喜びとなる◇
生徒の皆さんと進路についてお話しする際に「具体的には決まっていないけど、とにかく人のためになる仕事をしたいです」と言ってくれる方が結構います。「人を助けることが自分の喜びとなる」、「人を助けることで自分自身も幸せになる」という感性を持っている人だなあと感じます。
◇赤ちゃんも人助けが好き◇
最近、赤ちゃんに関する研究が進んでいて、「人間とは何か?」という問いにも繋がっています。赤ちゃんを研究すると、人間が生まれつき持っている本来の性質、「人間らしさ」が分かります。
それによると、「赤ちゃんは人助けが好き(好む)」ということが分かって来ていて、例えば、お菓子など自分の取り分を減らしてでも人に物を分け与えたり、扉を開けてあげたりする行動が見られる。人を助けたいという利他的な心は人間の本性なのかもしれません。
一粒の麦も感謝も、他者に生かされたり他者を生かしたり、私たちが繋がりの中で生きていることを改めて思い起こさせてくれる言葉だと思います。
校長 村手元樹
*2026.5.28 全校朝礼
*参考文献 奥村優子『赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか』(2025年、光文社新書)
