幸せって何だろう ―令和8年度1学期終業式―
2026.07.19

白百合@ルーチェ・ガーデン


 令和8年7月17日(金)、猛暑日が続く中、終業式が行われました。昨年9月にカリタスホームにエアコン導入がされましたので、今年の1学期終業式は教室でオンラインの実施ではなく、カリタスホームに一堂に会しての終業式ができました。前校長である小池芳樹先生の訃報が入り、終業式の前に、小池先生が本校に残してくださった功績に思いを寄せ、感謝の気持ちを持って、全校で追悼の祈りを捧げました。
 以下、夏休みの過ごし方について生徒の皆さんに伝えたメッセージをお読みください。

 

◇立ち止まって考える◇
 一学期お疲れ様でした。いよいよ夏休みが始まります。それぞれに具体的に取り組むべき課題も多いですが、普段よりは、まとまった時間が取れると思うので、「一人で静かに夕日とか星空とか遠くを眺めるような時間」を持つといいなと思います。「立ち止まって考える時間」と言ってもいいでしょう。Sr.渡辺和子さんが慌ただしい日々の中でも時には立ち止まって自分に哲学的な問いかけをすることを忘れない、「それがカトリックの学校で学んだ者の証(あかし)です」というようなことを仰っています。日々のお祈りも「立ち止まって考える」小さな時間でしょう。

 

◇ラッセルの『幸福論』◇
 私が最近立ち止まって考えていることは「幸せって何だろう?」ということです。もちろん答えは人によって違って無数にあります。そして探し続けるものかもしれません。昔から多くの先人たちも考え続けています。その中で三大幸福論という三つの本があって、「そこに答えがある」というより考えるヒントになればと思うのですが、今ラッセルの『幸福論』を読んでいるので、少しだけ紹介します。
 ラッセルはイギリスの哲学者・数学者で、平和活動なども行い、ノーベル文学賞も受賞している、いわゆる「知の巨人」です。ラッセルの『幸福論』は、不幸の原因をいろいろ分析した上で幸せをもたらすものについて述べています。お時間の関係で印象に残った3か所だけ紹介します。

 

◇人との比較について◇
 先ず人との比較について。ラッセルはこう言っています。「人と自分を比較してものを考える習慣は、致命的な習慣である。」確かに人と比較しすぎると妬みとか自己嫌悪とかネガティブな感情に支配され、自分の人生を生きられなくなってしまいます。自己肯定感、「私は私でいい」という感覚を持ちたいところです。

 

◇努力とあきらめのバランスについて◇
 二つ目は努力とあきらめのバランス。ラッセルは言います、「賢人は、妨げることのできる不幸を黙って見過ごすことはしない一方、避けられない不幸に時間と感情を浪費することもしないだろう。」自分の力では変えることのできないことに思い悩むより、努力して変えられることに力を注いだ方がよいということでしょうか。

 

◇外の世界に目を向けよ◇
 最後、三つ目。「幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。」自分の殻にとじこもるのではなく、外の世界のさまざまなことに興味を持ち、好奇心をいだくことが幸福の秘訣だとラッセルは言っています。
 100年近く前に書かれた古典的名著なので、お近くの図書館に置いてあると思います。少し難しいかもしれませんが、機会があったら是非触れてみてください。

 

◇卒業生たちの大学生活に見る幸福論◇
 先日の「学生生活報告会」において、南山大学で学ぶカピタニオの卒業生5名が来校し、大学での現状や高校時代の体験などを後輩たちに熱く語ってくれました。それぞれの生き方に私自身とても感動しました。ラッセルの幸福論に繋がる部分がたくさんありました。
 共通して感じたのは、自分としっかり対話し、好奇心を持って「行動すること」、もちろん葛藤や苦悩はあったと思いますが、その場その場で思い悩むだけでなく、できることを先ず始めてみること、そういう姿勢がありました。
 また高校時代の「宗教」や「女性学」、「自由探究」などで培った考えを深める習慣、表現する力が大学で生かされている、また高校時代に養った「人との関わりを大切にする姿勢」「挑戦する姿勢」が生かされているということを複数の先輩が言っていました。「生かされている」というより「生かしている」と言った方がいいかもしれません。まさにラッセルの言う「外の世界に目を向けよ」です。この世界には、一歩踏み出せば、自分を幸せな気持ちにさせてくれる、見るもの、聞くもの、人や風景がいっぱいあります。
 では皆さん、この夏も厳しい暑さが予想されます。健康にはくれぐれも気を付けて、よい夏休みをお過ごしください。有意義な夏休みになるよう祈っています。

校長 村手元樹