成瀬に学ぶ ―令和8年度2学期始業式―
2026.09.12

ケイトウ@カピタニオ・ガーデン

 

 

 

 

 

 


 令和8年9月1日(火)、2学期が始まりました。まだまだ厳しい暑さが残っていますが、昨年秋からカリタスホームにもエアコンが入ったので、今年もカリタスで始業式を行なえました。以下、新年度にあたって生徒の皆さんに伝えたメッセージをお読みください。

 

◇成瀬シリーズの人気の秘密は?◇

 おはようございます。2学期が始まりました。健康に気をつけながら、高校生活、頑張っていきましょう。

 ところで皆さんにとって、夏休みはどんな時間だったでしょうか。夏休みに蓄えたことが2学期に生かされることを願っています。私は、この間、片付けの話をしましたが、本も結構たくさん読めました。その中で、3年ほど前からベストセラーになっている、いわゆる「成瀬シリーズ」をようやく読みました。3作シリーズの2作目まで文庫本で読んで、3作目はまだ単行本でしか出ていないので、最寄りの図書館で借りて読もうと思ったら、貸し出し中で予約待ちが83人だったので、いま待機中です。

 なぜこんなに多くの人に読まれているか興味があって読み始めましたが、やはり主人公の人物造詣の魅力が、今の時代の人々が求めているものとリンクしているのかなと思いました。この小説は「成瀬あかり」という女性の、中2から大学生までを描いています。架空の人物ではありますが、共感し、触発される要素がいくつもあります。

 

◇行動力と行動の意味◇

 その一つが「行動力」と「行動の意味」です。一見突飛な挑戦を迷いなく本気で次から次へとします。閉店するデパートに最終日まで毎日通い詰めるとか、M1という漫才のコンクールに出るとか、街のパトロールを自主的にするとか。それらの取り組みが思いつきのようで、どこかで繋がっているところがポイントです。

 登場人物の一人に成瀬を尊敬する小学生の「北川みらい」ちゃんという子が出てきます。「成瀬さんは将来、何になるんですか?」と聞くと、「先のことはわからない」が、「何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている」「何になるかは未定だが、地域に貢献したいとか、人の役に立ちたいとは思っている」と答えます。そういう目標の手段として行動があるようです。

 

◇到達点よりプロセスが大事◇

 触発される要素の二つ目は「プロセス」が大切だという生き方です。

 彼女は一つ一つの挑戦に真剣に取り組みますが、初志貫徹というわけでもありません。成功しないことも多いし、未完成のこともあります。その挑戦に対する人の評価とか人との比較からも自由で、いまできることに全力を注ぐだけです。

 でも、そのプロセスで副産物というか、予期せぬ出会いとか発見とか生まれて、世界が広がっていきます。到達点よりも、そこに至るまでの道のり(歩いた経験)が重要で、無駄ではないという考え方なんですね。

 

◇日常を面白くする◇

 三つ目は「いま、ここ」(日常のリアルな世界)で地に足をつけて生きていること。成瀬は滋賀県の大津という地元をこよなく愛していて、ひたすらローカルな場所での日常を描く小説です。恋愛小説でもミステリーでもファンタジーでもない。いわゆるセカイ系のように一人の女子高生が世界の命運を担って地球外生物と戦うというような小説でもありません。

 でも日常がこんなにも面白くできるんだと思わせる力があります。

 

◇副学長様のメッセージ◇

 1学期の始業式で「時間の使い方」の話をしました。成瀬はまさに「自分の時間」を生きています。「時間を溶かす」のではなく「時間を積み重ねる」使い方です。現実での様々な体験を通して自分の中でいろいろ学び、成長に繋がる時間です。

 2学期は特にチャレンジする機会がたくさんあります。学園祭や体育祭、修学旅行などの行事、部活動の大会、3年生は受験が間近です。その一つ一つの積み重ねが自分の未来を作ります。

 8月の終わりに上智大学の副学長様が来校されて、そこに居た在校生にこんなメッセージを伝えてくださいました。「いろんなことをやってみてください。でも摘まみ食いではなく、しっかり取り組んでみること。一つの目だけでなく、いろいろな目を持ってください。大学がゴールではない。」と。成瀬っぽいなと思いました。

 そんな点もイメージしながら、2学期を始めていきましょう。

校長 村手元樹