世は定め無きこそいみじけれ ~2022年を振り返って~
2022.12.23

山茶花 校庭の山茶花

 2022年も残すところ、あと僅かとなりました。皆様にとって今年一年はどんな年だったでしょうか。本校においては文字通りウィズコロナの年でした。安全第一は勿論ですが、大切な高校時代です。さまざまな体験を通して感じたり考えたりしてもらいたいことがたくさんあります。よい思い出も作ってもらいたい。このような思いを抱えつつ2020年、2021年と過ごしてきました。

◇ウィズコロナの年◇

 今年は、幸い社会情勢の変化に伴い、制約は多いもののコロナ禍以来できなかったことが徐々にできる状況になってきたことは嬉しい限りです。まず全校朝礼もカリタスホームで行い、全校で祈る機会に恵まれました。4月には3年生が修学旅行に代わる宿泊旅行に行き、何とか旧友と寝食を共にする体験ができました。5月の創立記念日では全校生徒の歌声が久々にカリタスホームに戻ってきました。2019年12月のハレルヤコーラス以来の全校での合唱に目頭が熱くなりました。つま恋リゾートでの6月の修養会も三年ぶりでした。7月には2年生のオーストラリア短期留学も半年遅れて実施できました。9月には有名なミュージカル「キャッツ」を全校で観劇し、感動を共有しました。学園祭では三年ぶりにクラス展示を行い、各クラスで探究したことを分かち合う体験ができました。また全校生徒でお互いの舞台発表を観覧し合い、一体となって楽しみ、盛り上がりました。体育祭は全校がグラウンドに会し、青春の汗を流しました。感染対策で3年生のみでしたが、学園祭と体育祭の様子を保護者の方と三年ぶりに共有できたのもありがたいことでした。11月には三年ぶりに修学旅行を実施でき、沖縄で心に残る体験をしました。

◇コロナ禍と無常◇

 12月になり、待降節の期間を通して自分たちが楽しむだけでなく、隣人と喜びを分かち合ったり、世界の人々の幸せを祈ったりすることに真摯に取り組み、クリスマス会も無事行うことができました。カトリック学校独自の行事にはじめて3年生の保護者の方にご参加いただけると心待ちにしておりましたが、コロナの第8波が到来し、叶わなかったことは誠に残念なことです。コロナ禍は、この世の中が無常であること、人間が本来、予想や制御のできない自然の変化の中で生きる存在であることを思い出させてくれました。昔の人はこの世が無常であることを覚悟し、日々それに対応し、希望を持って、その制約の中に少しでも豊かに生きる術を探っていました。むしろ平坦でない、紆余曲折のこの世のあり方にこそ人生の素晴らしさがある(*『徒然草』第七段「世は定め無きこそいみじけれ」)としたのは兼好法師です。

◇人生にトキメキを◇

 大人になるとあっという間に一年が過ぎると言います。その理由をチコちゃんは「人生にトキメキがなくなるから」と答えていました。私事ですが、今年は時の経つのが幾分ゆっくりだった気がします。それは今年、生徒の皆さんとともに、コロナ禍の困難の中、さまざまなことをルーティンとしてではなく新たな気持ちで行ってきたからかもしれません。

 来る年も皆様の上に神様の豊かな恵みがありますように。

                                         校長 村手元樹