【朝礼の話④】沖縄の言葉の魅力
2022.10.17

色づき始めた花水木色づき始めた、校庭の花水木

◇沖縄の言葉「しまくとぅば」◇

 私はいま沖縄を舞台にした朝ドラを視聴しています。そこに出て来る、沖縄の言葉には優しく温かい響きがあり、生きる知恵がいっぱい詰まっているなあと思ったので、ほんの少しだけ紹介したいと思います。沖縄のことばを「しまことば」と呼んでいます。正確な発音は「しまくとぅば」と言います。沖縄の言葉は、短い「お(o)」の母音がなく、「う(u)」に変わるという規則性があるそうです。「ことば」の「こ(ko)」は「く(ku)」に、「と(to)」は「とぅ(tu)」に変化します。

◇はいさい・めんそーれ・ちばりよー◇

 皆さんも聴いたことのある言葉がいくつかあると思います。例えば、「はいさい」、正式には男性が「はいさい」、女性「はいたい」と言うそうです。どんな意味か分かりますか? そう、「こんにちは」という挨拶です。「めんそーれ」聞き覚えありますか? これは「いらっしゃいませ」。「ちばりよー」は「がんばれ」。これは「気張る」から来ています。沖縄の言葉では「き」は「ち」になまるという規則性があります。

◇ちむどんどん◇

 朝ドラでおなじみの「ちむどんどんする~」、「ちむ」は「きも(肝)」から来ています。「きも」は古語で「内蔵」や「心」を表します。「きも」の「き」は「ち」に、「も(mo)」は「む(mu)」に変わり、「ちむ」になります。したがって「ちむどんどん」は「胸がドキドキする」「心がワクワクする」という意味です。

なんくるないさ

 さて皆さんに今日一番知ってほしいのが「なんくるないさ」という言葉です。聞いたことありますか。意味もなんとなく想像つきますよね。「自然と何とかなるさ」という意味です。「なんくる」は「自然と」「ひとりでに」という意味だそうです。この言葉、単なる気休めの言葉でなく、深い意味があることが今回朝ドラを見ていて分かりました。「なんくるないさ」は省略形で本来「なんくるないさ」の前にある言葉が付くようです。先週朝ドラを見ていましたら、主人公が「まくとぅそーけー・なんくるないさ」と言っていました。「なんくるないさ」は分かったのですが、「まくとぅそーけー」って何だ?と思ったわけです。

まくとぅそーけー・なんくるないさ

 調べてみると、「まくとぅ」は「まこと(誠)」が訛った言葉です。「まこと」の「こ」は「く」に、「と」は「とぅ」に変わり、「まくとぅ」になります。「そーけー」はよく分からないのですが、「まくとぅそーけー」とは「人として正しい行いをしていれば、」「誠実に努力していれば、」という意味です。

 つまり「まくとぅそーけー・なんくるないさ」は「誠実に努力していれば、自然にあるべきようになる」という意味の言葉だと分かりました。「なんくるないさ」は「必ず成功する」ということではありません。「誠実に努力していれば、神様があなたをよい方向に導いてくれますよ」ということだと思います。「人事を尽くして天命を待つ」という故事成語と同じような趣旨の言葉です。

 この言葉ぜひ覚えてください。

校長 村手元樹

*2022.9.29 全校朝礼(オンライン)