【おすすめBOOK③】『オー・ヘンリー短編集』
2022.06.03

ミニばら

通用門の横に咲いている可愛いミニバラです。

◇朝読書に最適の本◇

 6月13日(月)から始まる「夏の読書週間」。この機会に改めて読書の大切さを思い起こし、それをきっかけに「読書週間」から「読書習慣」になっていくとうれしいです。数年前文部科学省が行った読書調査によると、「一か月に読む本が0冊」という高校生の割合は50.4%でした。半分以上が本を読みません。本を読む高校生と本を読まない高校生と半々です。カピタニオの生徒には「本を読む高校生」になってほしいと思います。そこで今回は朝の読書などで手頃に読める短編、しかも面白くてためになる「オー・ヘンリ―」の本を紹介します。

◇オー・ヘンリー◇

 オー・ヘンリー(1862-1910)はアメリカの作家です。その半生は決して順風満帆ではなく、長い下積み生活を経てようやく作家として成功したのは亡くなる五年ほど前でした。そこから驚異的なスピードで書き上げた珠玉の272の短編がいま残っています。市井の人々の生きる姿をユーモアとペーソス豊かに、そして愛情のこもった眼差しで描きます。辛酸をなめた彼の人生から導き出した知恵や真実が随所にちりばめられています。ストーリー展開も奇抜で面白く、意外な「落ち」が待ち受ける話も多くあります。短編の名手と呼ぶにふさわしい作家だと思います。ちなみに私がオー・ヘンリーと出会ったのは中学校の英語の教科書でした。「賢者の贈り物」という短編が載っていて興味を覚え、翻訳された短編集の文庫本へと進みました。私の好きな作品から一つ紹介します。「甦った改心」という短編です。

◇甦った改心◇

 金庫破りのジミーという男が刑務所を出所するところから始まります。出所してもジミーは各地を転々として金庫破りを続けます。しかしある田舎町にやって来た時、一人の女性とすれ違った瞬間、彼は恋に落ちてしまう。まさに「一目ぼれ」です。女性の名前はアナベル、その町の銀行家の娘。ジミーは改心して金庫破りを一切やめ、その町で靴屋を開業し、成功を収めます。町の人々にも尊敬され、アナベルの家族からも信頼され、アナベルと婚約をしました。

 ここまで順調に進んでいましたが、ジミーを追っていた刑事ベンが彼の居場所を突き止め、この町にやって来ます。そんなある日、銀行家であるアナベルの父が、自慢の最新式の金庫を家族にお披露目する機会が訪れます。少し目を離しているうちにアナベルの二人の姪たち(姉の娘)がふざけて遊んでいるうちに、9歳の女の子が5歳の女の子を閉じ込めてしまう事件が起きます。金庫の初期設定が未だされておらず、遠くにいる業者でないと開けられないことが分かります。金庫の中は空気も薄く、助けられる時間もあとわずかです。母親は半狂乱になり、あたりは騒然となっています。

 ジミーなら助けられるかもしれない。しかしそうすれば彼の過去が知られ、最愛のアナベルも今の地位も失ってしまうでしょう。刑事のベンもその場にいます。

 さて、ジミーはどんな行動を取るか。この続きは小説を読んでみてください。インターネットにはサマリー(要約)が載っていますが、是非実際に小説を読んで確かめてください。サマリーから受け取るものと小説から受け取るものとでは質が違うし、感動も別物です。

校長 村手元樹

 

*オー・ヘンリー(大津栄一郎訳)『オー・ヘンリー傑作選』(岩波文庫、1979)

*オー・ヘンリー(芹澤恵訳)『1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編』(光文社古典新訳文庫、2007)活字が大きいのでおススメ。

*他にも多くの文庫本や単行本が刊行されています。