体験学習の大切さ ―令和5年度1学期終業式―
2023.07.21

猛暑の中でも元気に咲く日々草(ニチニチソウ)in ルーチェ・ガーデン

 

暑中お見舞い申し上げます。

令和5年7月20日(木)、1学期終業式を行ないました。連日猛暑日が続き、17日(月)には豊田市でその日全国一の暑さ39.1度を記録しました。一旦落ち着いたものの来週も再び著しい猛暑がやってくるという予報もあります。くれぐれもご自愛ください。

 

終業式での話

◇夏休みはいろいろな「体験」の機会◇

一学期お疲れ様でした。いよいよ夏休みが始まります。夏休みは、まとまった時間も多少取れると思いますので、計画を立てて、普段できないような学習の機会にしてほしいと思います。そこで今日は広い意味での「体験学習」ということについてお話しします。

3年生の受験生の方は「そんな暇ないよ」というふうに思うかもしれませんが、受験も貴重な体験です。私自身も、一昨年度の文集「はらやま」に「私の受験体験記」という拙い文章を載せましたが、遥か昔の高校時代の受験ではなく、大人になってから(10年くらい前に)受験を体験しました。辛いこともありましたが、私にとっては、かけがえのない経験となっています。

読書体験という言葉もあって夏休みに普段読めない長編なんかを読むのも良いのではないでしょうか。ボランティア活動や職業体験などを予定している方も多いと聞いています。大学のオープンキャンパスにも積極的に行ってほしいですね。まさに「百聞は一見に如かず」です。クラブ活動や学園祭などの取組みもいろいろなことを学ぶ機会になることは言うまでもありません。

◇「体験してはじめて身につくんだなあ」◇

相田みつをさんの書に「体験してはじめて身につくんだなあ」という書があります。「本当にそうだな」と私はつくづく思います。頭の中で考えるだけでなく、自分の肌で感じないと自分のものにならないことは多いですね。この書はスペラツァ棟の柱にも掲示されています。

◇注目される「非認知能力」とは?◇

最近、「認知能力」「非認知能力」ということが注目されています。「認知能力」は「IQや学力などテストで測定可能な能力」、これに対して数値では表せない「認知能力の土台」となる力が「非認知能力」です。具体的には「粘り強さ」「集中力」「自分の感情をコントロールする力」「自己肯定感」「自己効力感」(自分ならできるという感覚)「コミュニケーション能力」「協調性」といった力です。こういう力が受験や就活でも重視されるようになってきています。その背景には社会の急速な変化があって、それに対応できる人間力が求められているわけです。その「非認知能力」は社会体験や文化体験、自然体験など様々な「体験」によって培われるとされています。そういう意味でも皆さんにできるだけ多くの体験をしてほしいと思います。

頭と心・身体との往復運動が大事◇

ただ「認知能力」も重要であることには変わりありません。「認知能力」と「非認知能力」のバランスが大切です。大雑把に言えば「認知能力」は頭に関わる力、「非認知能力」は心と感情に関わる力なので、頭と心のバランスと言ってもいいでしょう。

あるいは、頭で考える「理論」に対してその対義語である「実践」という対比による理解もできます。例えば、「宗教」の授業で聖書の考え方を学び、それを通して「愛」とは何かについて頭で考えます。しかしそれだけで終わらせるのではなく、日常生活の体験の中でいわゆる「愛の実践」を通してそれを実感して自分なりの考え方が身についていくわけです。さらにそういう体験を通して「愛」に関する思索が深められていきます。そのような理論と実践、頭と心・身体との往復運動が大事なのかなと私は思っています。

最後になりましたが、健康には十分気をつけてよい夏休みをお過ごしください。有意義な夏休みになるよう祈っています。

校長 村手元樹