【私の受験体験記③】受験勉強と戦略性
2023.08.02

本校セレニタ棟から瀬戸デジタルタワーを望む(夏の雲が美しい)

 

 

2022年の文集「はらやま」に掲載した「私の受験体験記」の再録3回目です。

 

「私の受験体験記 ー 私のまなびノート1」第3回(「はらやま」第58号、令和4年2月発行)

英語の受験勉強に悪戦苦闘

 私は次に「過去問」の入手に取りかかった。大学院入試にはいわゆる「赤本」のような便利なものはない。大学の入試課に行き、過去の入試問題を集めたファイルを借り、それを大学内のコピー機を使って自分で複写する。英語の問題を見ると、長文読解が2題で60分の試験。レベルは国公立大学の二次試験ぐらいか。基本的には文法問題はなく、下線部を和訳したり、下線部の理由を述べたりといった内容に関する記述問題である。
 これなら、いけそうだ。分らない単語は辞書を引けばいいのだから。私は高をくくっていた。しかしここに落とし穴はあった。試しに過去問を1年分、解いてみる。分らない単語は辞書で引きながら読む。内容はだいたいつかめるし、問題もどうにか解ける。しかし1題解くのに1時間近くかかる。そう、分らない単語や熟語をいちいち調べていたのでは、時間がまったく足りないのだ。調べる単語は必要最小限にしなければならない! そのためにはある程度基本的な単語は覚え直す必要はあるし、逐語訳でなく、キーワードだと思う単語だけを調べるようにして、大意をつかみながら速読する力を養う必要がある。

 こうして「過去問」の研究から私は英語の「受験勉強計画」を立てた。過去問は10回分くらいしかないので、一気に解いてはもったいない。大学受験の英語長文の二次対策用問題集(大学の過去問題を集めたもの)を買って、長文問題を1日1題ずつ解くことにした。解答用のノートを一冊作り、辞書を片手に各問三十分で解いた後、自己採点。解きっ放しだと力試しにしかならず、力を養えない。これではもったいない。その後、時間をかけてもう一回解き直す。するとどうして解けなかったか、どうすれば解けたか、自分の弱点と対策が見い出せる。重要単語・熟語として挙げられているものは、単語帳に書き出してスキマ時間に覚えるようにした。
◇受験勉強と戦略性◇
「勉強方法」はシンプルなほうがいい。それを繰返し、ルーティンにする。「継続は力なり」である。「一夜漬け」のように一気に燃え上がって一気に冷めるような勉強法は、恋と同様、忘れやすく、体力も消耗してあまりよくない。ころころと勉強方法を変えるのも非効率だ。また計画はスモールステップにして小刻みにする。余裕があっても1日1題にした。その代り、「自分との約束」として1題は必ずやるように決める。受験勉強はここが一番大切だし、一番難しい。計画を立てたら必ず実行するという心構えで臨む。それが自己信頼にもつながるからだ。できなければやっぱり私はだめだなと自己嫌悪に陥りがちだ。
 しかし自分の弱さも容認し、自分に対する妥協も必要である。私もそれほど意志の強いタイプではない。仕事が忙しい時はできないこともあったし、やる気が起きないときもあった。睡魔に襲われながらでは効率も悪い。そういう時は「今日は寝よう。その代わり土曜日にやろう」と予備日にしていた土曜日にその日の分をまわす。土曜日もできないこともあったが…。日曜日は自分で模試の日と決めて、過去問を解いた。
 これらの受験に対する戦略性は、カピタニオの生徒から学び、体得したものでもある。教員は知らず知らず多くのことを生徒から学ぶ。私は長年、お手本となるような優れた受験生を間近に見て来た。また毎年三月には先輩が後輩に受験体験を話すキャリアガイダンスもあり、それを傍聴してきた。なるほど、その方法と心構えがあれば確かに受かるはずだと納得させられる受験生も少なくない。彼女たちは一様に確かな戦略性を持ち、それを根気よく実践していた。その持続力、粘り強さ、模試の失敗を次に生かそうとする分析力と対応力、周囲が次々に合格して行く心細い状況の中でも自分の可能性を信じて淡々と走り続ける、孤独なチャレンジ精神、そういった姿に励まされることしばしばだった。(つづく)

校長 村手元樹