上野先生から学ぶ
2023.11.24

 

 

創立60周年記念講演会        

 1030日(瀬戸市文化センターにて本校創立60周年記念講演会を行いました。社会学者であり、日本における、女性学、ジェンダー研究のパイオニアである上野千鶴子先生上野千鶴子さんから学ぶ生き方講座女の子はどう生きるか?』」というテーマで全校生徒に向けて語りかけ、熱いエールを送ってくださいました。保護者、同窓生、一般市民の方々も400名以上ご参加いただきました。

 上野先生は、高校生向けに分かりやすく、さまざまなエピソードや資料を交え、女性を取り巻く社会の過去の状況、現状、問題点を踏まえ、これからの生き方について考えるヒントを示してくださいました。カピタニオの授業の中で女性学を学んでいる意味が、腑に落ちた生徒の方も多いのではないでしょうか。

 

ごめんね、私たちができたのは、ここまでです

 女性史を学ぶことも大切だと改めて感じました。歴史を学ぶことで現状がより深く理解できます。上野さんはじめ、いろいろな女性たちが働きかけて、社会を変え、今の環境があります。「ごめんね、私たちができたのは、ここまでです。」と生徒の皆さんにおっしゃった言葉が印象的です。社会学者としての歴史認識を踏まえてからこその言葉でしょう。上野先生が示された資料の中にもあった「GGI」(ジェンダー・ギャップ・指数/政治・経済・教育・健康の4分野での男女平等指数)の国際ランキング148カ国中125位の数字が「ここまでです」の意味を端的に物語っています。「教育」「健康」の値はトップクラスですが、「政治」と「経済」の値が低いようです。上野先生の話によると「教育」の分野でもまだまだ課題は多いようです。

 

女子校のメリット

 「女子校」のメリットについてもお話ししてくださいました。Gender socialization(男の子向け/女の子向け社会化、男の子はこうあるべき、女の子はこうあるべきという規範)の効果が比較的薄い、②leadershipが育ちやすい、③性別役割分担が成り立たない、などのメリットを挙げられていました。

 

上野先生との対話

 後半の質疑応答では、何人かの生徒たちが質問したのに対して、ユーモアたっぷりに答えてくださったり、逆に問いかけて考えさせてくださったり、和気藹々とした、よい対話の時間となりました。ほかにも多くの生徒から手が上がりましたが、途中で時間切れとなってしまったほど、活発な対話が交わされました講演の最後に生徒会副会長がお礼の花束をお渡しする時、上野先生のお話を受け止め、「今度は私たちが女性がより良く生きられる社会を作っていきます。」と語ったのも印象的でした。

 

弱者が弱者のままで尊重される社会

 講演のあと、何人かの生徒の方に感想を聞きましたが、それぞれに自分の身に照らし合わせて、触発されたところがあったようで、今後、自分自身の問題と受け止めて、どう生きるかを考えて続けてほしいと思います。そして上野先生がフェミニズムの目標とされている「弱者が弱者のままで尊重される社会」を作っていってくれることを願っています。

校長 村手元樹