能登半島地震に思う ―令和5年度3学期始業式―
2024.01.19

校庭には山茶花がいっぱい咲いています。冬の風物詩です。

 

令和6年1月9日(火)、3学期の始業式を行ないました。始業式で生徒の皆さんに話した内容を紹介します。

始業式の話

◇能登半島地震◇

 おはようございます。そして新年明けましておめでとうございます。

おめでとうございます、と言うのも憚られるほど、たいへんな年明けとなりました。1月1日午後4時頃、能登半島を震源とする地震が発生しました。多くの方が亡くなられ、家や家族を失った方、こうした今も不自由な避難生活を送っている方も大勢います。お正月番組の裏で、災害の恐ろしさを改めて目の当たりにする映像が連日流れていて、心が痛みました。晴れやかな気分になれない、そんな正月を私も過ごしていました。

 

◇愛の実践◇

今はその方々のために祈ることしかできないという気持ちの半面、「愛は実践である」という言葉も浮かびます。地域の方々をはじめ、医療関係の方々や自衛隊の方々など多くの方が現地に駆けつけて必死に救援活動を行なっている様子も伝えられています。関連して起きた飛行機事故の乗務員の方々の迅速な対応も報じられています。それらの人々の尊い行動には頭が下がります。

 

◇「ヒトゴト」とせず関心を持つ◇

でもこの場所で、私たちができることもあります。募金などもその一つですが、先ず何より「ヒトゴト」とせず関心を持つこと。奇しくも一年生の方は、12月の出前授業で地震対策の専門家である福和先生から地震の恐ろしさと対策の重要性をお聞きしたばかりです。福和先生は「教員がまずもっと勉強しなさい」と叱咤激励してくださって、私自身もっと関心を持たなければと反省しました。様々なメディアで連日報道をされていますので、皆さんもぜひ目を通してください。特に自分の分野に関することは深めるといいと思います。例えば理科系の人だったら、地震のメカニズムとか耐震構造についてとか、社会科学系の人だったら、行政の対応についてとか、復興への経済活動とか、人文系の人だったら、被災された人の思いとか心のケアの問題だったり。学ぶことはたくさんあります。

 

◇日常をより大切にする◇

もう一つ私たちができることは日常をより大切に心を込めて過ごすことかなと思います。私たちは何か大変なことが起こると今の生活が当たり前でなく貴重なことを実感します。コロナ禍の時もそうでした。でも少し時が経つとすぐ忘れがちです。こんな話もあります。マザーテレサが「死を待つ人々の家」を作って、孤独のうちに死んでいく人々を温かく看取る活動をしていたことは知っている人も多いと思います。この活動に共感して世界中からボランティアの人たちが集まってきました。で、そのときにマザーテレサはこんなふうに言ったそうです。「あなたはすぐ自分の国に帰りなさい。あなたの最もすぐそばの人を大切にするところから始めてください。愛はそこから始まるのです。」

今の場所で自分ができることすべきことを先ず行なうことが大切だと言うことです。皆さんは学生ですから、まず日々の勉強をしっかりすることでしょうか。勉強は自分の将来のためであると同時に、将来周囲の人を助ける力を付けるためのものでもあります。

そんなことを念頭に置きながら、三学期を始めて行きましょう。

 

校長 村手元樹