ラ・カリタとSr.カテリーナの話
2024.05.20

マリエッタ会(同窓会)よりお祝いのお花をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇第61回創立記念日◇

令和6年5月14日(火)、お天気にも恵まれ、今年もさわやかな若葉の季節に創立記念日を行うことができました。み言葉の祭儀を行なったのち、1年生が各出身中学校に、2・3年生の有志が各施設に日ごろの感謝の気持ちを込めて、お花を届けました。以下、式典で述べた私の挨拶を掲載します。

 

挨拶

◇ラ・カリタの全校合唱はいつから?◇

まずは保護者の皆様、カピタニオゆかりの皆様、本日はお忙しい中、ご参加いただき、ありがとうございました。こうして皆様とご一緒に創立記念のお祝いできることをとても嬉しく思います。

さて生徒の皆さん、Nice La Carita! 素敵な全校合唱、本当にありがとうございました。ラ・カリタだけでなく、すべてエクセレント!です。

ラ・カリタは、イタリアの偉大な作曲家ロッシーニが作曲した、私も大好きな曲です。ロッシーニという名前を知らなくても「ウイリアム・テル序曲」を聞いたことがない人は、まずいないと思います。このラ・カリタという曲は、本校で創立記念日にずっと歌い継がれていますが、いつ頃からなんだろうとふと気になって、今回調べてみました。旧職員の方やマリエッタ会(同窓会)の方に聞いてみて結局明確な年度までは特定できませんでしたが、おそらく1980年前後、約45年ぐらい前からではないかと思われます。きっかけはイタリアから来日したSr.カテリーナという音楽の先生がいらっしゃって、その指導のもと、合唱部でまずコンクールのためにラ・カリタに挑戦し、その後、全校に広まっていったようです。当時の合唱部の方は、「あの難しい曲を全校で歌えるのは本当にスゴイことです」と感心しておられました。

 

◇Sr.カテリーナの思い出◇

少しSr.カテリーナの話をしたいと思います。私がこの学校に赴任した時、もう既にお年を召されていて、数年間だけ一緒に働きました。その後、イタリアに帰られて、いまは神様のもとにいらっしゃるんですが、本当に、音楽に対する強い情熱と生徒に対する深い愛情を持って指導される方でした。合唱の指導の際、シスターの口から「もったいない」という言葉をよく聞きました。もっと上手に歌えるのに、もっと声を出せるのに、出し惜しみするのは「もったいない」という意味です。高山先生と同じように、生徒の力を最大限に引き出すための努力を惜しまなかったシスターでした。

 

◇Sr.カテリーナと校歌◇

校歌に関するエピソードもあります。この校歌は、創立間もなく、生徒が作詞して有名な大学の先生に作曲を依頼した曲です。とても素敵な曲ですが、私は最初聞いた時に終わり方が特にいいなと感じたんですね。神秘的で、心洗われてその余韻が残るような。この終わりの部分は原曲とは少し違うアレンジでいま歌われています。聖歌集に載っているオリジナルの楽譜だと「聖カピタニオ」の「ニー」で伸ばしています。その後Sr.カテリーナが来日してイタリア語的には「おかしい! 伸ばすところが違う。伸ばすとしたら聖カピタニーオではなくて聖カピターニオなんだ」とおっしゃって、今の歌い方に繋がっているということなんです。

 

◇「歴史を感じる」ということ◇

先日、加藤洋平先生が創立記念日の意味を各自考えてくださいとおっしゃっていましたね。その一つのシンプルな答えは「歴史を感じること」だと思います。歴史と言っても出来事ではなく、その背景にある、たくさんの人の存在やその思いです。それに今の自分が繋がっているんだという感覚を持ってほしいのです。そういう歴史に対する想像力が人生を豊かにするのだと私は考えています。私たちの一生は人類の何万年という歴史からすればある意味、点のようなものですね。でも歴史を意識して繋がりや広がりを感じることによって、点として生きるのではなく線や面として生きることもできます。「一粒の麦」の教えにも通じることだと思います。この学校を作ってきた人々に思いを馳せていただければ幸いです。

本日はまことにありがとうございました。