【せっかくBOOK①】せっかくミッションスクールに来たのなら・・・
2025.05.03

マリーゴールド @ルーチェ・ガーデン


 

「せっかくBOOK」とは?

 これはもちろん某テレビ番組のタイトルを踏まえたもので。インスパイアされたとも言えます。その場所にせっかく来たのなら、出来ればしておきたい、しておいた方がいいことは結構あるという発想で

 せっかくミッションスクールに来たのなら、この本を読むといいのにな」という思いを私は以前から持っていました。国語の授業でもしばしば紹介してきました。というのは、ミッションスクールで触れる、聖書の勉強や「祈り」や奉仕活動や宗教的行事のなかで考えたり感じたりすることが、より深められ、それが心の糧となると考えるからです。そこでそういったオススメの本を随時紹介していきたいと思っています。

 

◇「せっかく」という日本語◇

 ところで「せっかく」という言葉は漢字で「折角」と書き、日本では大まかには「力を尽くす」「骨を折る」というような意味で使いますただ他の言語には置き換えにくい、色々なニュアンスが含まれています。ここでの意味は「日本国語大辞典」に載っている「その動作の結果生じた状態をのがすのは惜しいという話者の気持ちを表わす語」というのに近いと思います。

 

◇ミッションスクールに入学した理由◇

 ミッションスクールに入学する理由はさまざまです。キリスト教に関心がある人もいればそうでない人もいます。むしろ他の理由が主で、たまたまミッションスクールだったという人の方が多いのではないでしょうか。でもこの際、理由は関係ありません。偶然の出会いをどう受容し、どう生かすかのほうが人生にとって大切なことだからです。入学という「動作の結果生じた」メリットに目を向け、それを生かしたいものです。

 

◇ミッションスクールで過ごすメリット◇

 多くの人に当てはまる大きなメリットの一つは「異文化体験」です。お祈りをしたり、聖書の勉強をしたり、欧米文化の基盤であるキリスト教文化に触れる機会があります。もちろんキリスト教を信仰するということではなく、むしろそういう考え方もあるんだなといろんな角度から物を見られる、考え方の幅を一つ広げるということです。高校時代に自分の視野を広げ、多様な価値観を知ることはとても重要です。グローバル社会では、様々な価値観の人(違う文化の人)と一緒に働いたり身近生活したりする機会がますます増えてきます。特にキリスト教の価値観を持つ人は世界の3人に1人程度にも上ると言われています。

 もう一つの大きなメリットは「自分の軸を作る」ことです。人生において、日々の生活での判断、また重要な状況での決断に答えを出すのは自分です。自己をしっかりと確立する必要があります。聖書の考え方を補助線として、自分の生き方や社会との関わり方についての自分なりの考えを深めることができるのは有意義なことです。

 

本の選定について

 前置きが長くなりましたが、ここで紹介したい本は、キリスト教文学と言われるものだけではありません。私自身が出会った本の中で、ミッションスクールで体験し考え感じたことと響き合う本、それが腑に落ちた本、実感が増した本、それによって考えをより広げたり深めたりできた本、などを紹介していこうと思います。例えば、『赤毛のアン』を読むと、日々の祈りがいかに生活に根付き、それが人生をいかに豊かにしているかが実感でき、学校生活での祈りへの思いも心なしか違ってくることもあるのではないか、そのようなことです。

校長 村手元樹