【朝礼の話㉞】一粒の麦になる
2025.05.20

聖カピタニオ像とハナミズキの花


 

◇授業前の祈り◇

おはようございます。今日は、5月のテーマ「一粒の麦-愛に生きる」についてお話しします。「一粒の麦」は、イエス様の生き方や聖バルトロメア・カピタニオの生き方を象徴する言葉ですが、同時に私たちの日々の生き方の目標でもあります。私たちは毎日この言葉を一度は口にしていますね。

毎朝唱えている、「主の祈り」は全世界共通のお祈りです。そのあとに唱える「授業前の祈り」は、本校オリジナルのお祈りです。とてもよくできた祈りだと思いますが、この「授業前の祈り」の最後に「(私たちが)一粒の麦となれますように、力をお与えください」と祈っています。ではこの「一粒の麦になる」とはどういうことでしょうか?

 

◇身近な世界の平和を作る存在◇

難しい問いですが、ある程度、このお祈りの中に、答えが入っています。国語的に文脈を辿ってみましょう。まず「今日も一生懸命に生き」ることによって「一粒の麦になる」と言っているので、遠い未来の目標でなく、日々の目標です。「平和な世界を作る一粒の麦」とあるので、「一粒の麦」は「平和な世界を作る」存在です。

ではこの「世界」とはどんな世界か? 必ずしも「世界平和」という時の全世界、グローバルな世界ではなく、先ず自分の周りの、身近な小さな世界のことだと思います。「親・兄弟・先生・友達と心から交わり」とあるので、具体的にはここで言う「世界」とは「家庭」「学校」「クラス」「部活」あるいは「地域」とか、自分が属している複数の世界のことでしょう。

 

◇ゴールデン・ルール◇

では、自分がその「世界の平和を作る」にはどうしたらいいか。それは日々、「自分の言葉や行いが人を悲しませることなく、人々の喜びとなる」ように今日も生きることだと、この祈りはとてもシンプルに伝えています。この言葉は、聖書の御言葉「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。」という言葉を彷彿とさせます。というより、たぶんこの聖句を踏まえているのでしょう。これはキリスト教の愛の精神が集約された言葉だと思います。黄金律(ゴールデン・ルール)とも言われているようです。要するに「愛の実践」ですね。

 

◇愛は近きより(Charity begins at home)

「一粒の麦になる」とは「まず今いる、その小さな世界で、日々のそのような言動を心がける」ことだと思います。マザー・テレサも「愛は近きより」、愛はあなたの近いところから始めなさい、と言っています。「愛は近きより」(Charity begins at home)」です。そんなことを念頭に置きながら、「授業前の祈り」を唱えてもらえたら幸いです。

校長 村手元樹

*2025.5.15 全校朝礼