毎年恒例の止揚学園に、1泊2日で訪問してきました。止揚学園を訪問するようになって、もう30数年が過ぎたのでしょうか?こちらに訪問させていただいた数多くの卒業生、生徒たちは、止揚学園との出会いを通して自分たちの心にできてきた厚い壁が壊されて素直にさせられた経験をしたのではないでしょうか?
今回の訪問もそうでした。まず、私たちの到着をまだか、まだかと玄関で待ってくださっている職員の先生方と止揚学園の仲間たち。私たちの姿が見えたとたん、200m先から「こんにちは~。いっらっしゃい~。」と、私たちが玄関に着くまで大きな声で手を振り体中で挨拶をしてくださいます。まずここで、私たちが日ごろ築き上げてきた人間関係の壁はハンマーで打たれます。そして、止揚学園の皆さんが集まっているホールに入ろうとした時に、一人の女性(自分の気持ちを言葉で表現できない)が職員さんに支えられながらドアに立ち両手を開いて一人ひとりにハグをしてくださいました。私は毎年ここに訪れていますが、このように出迎えてもらったことは初めてでした。ここで、私たちの心の壁がハンマーの強い打撃にほとんど崩されましたが、まだまだ壁はありました。
病み上がりでありながらもハグをしてくださった、私達を心から出迎えてくださった止揚学園の仲間のこの女性の行動に感動しました。それはきっと訪問する私たちのために止揚学園の皆様は、布団を干したり、生徒たちが喜んでくれそうな食事の献立を考えたりと、食卓を囲みながら話しておられたのでしょう。その話を聞いていたこの彼女(いつも誰かに支えられないと行動がとれない)もみんなと心の準備をして、自分ができる方法で私達を出迎えようとしてくださったのだと思うと、心がいっぱいになりました。お別れの時は、目に涙を浮かべてくださいました。
1泊2日の短い期間でしたが、止揚学園の仲間たちは積極的に生徒たちに声をかけてくれていました。「寝た?食べた?花火!プール!」と私たちの様子を気遣いながら、一緒に楽しんだ活動を一言で言いながらも「一緒にして楽しかったね~」という思いを伝えてくれていました。日ごろ、自分から積極的に声をかけることより、声をかけてくれるのを待つ生き方をしていた私たちの心の壁は、止揚学園の仲間の人たちの積極的な関わりによって残りの壁を木づちで優しく壊してくださいました。
あるがままの私達をあるがままに受け止めてくださった止揚学園の仲間たち。それは、彼らがあるがままの自分を受け止めているからできることなのでしょう。職員の方々が止揚学園の仲間たち一人ひとりに温かいまなざしをかけ、各自が持っている持ち味を引き出し皆のためにその能力を使う機会を与えておられます。その関わりが、一人ひとりを輝かせ「ここにいてもいいよ!」と居場所を与え、止揚学園に平和があるのはそのお陰なのだと、今回の訪問を通して気づかされました。