お互いが大切な存在!
2025.11.25

イクオリティ法律事務所の弁護士、都築さやか先生に来校していただき、1年生対象に「デートDV」のお話をしていただきました。今交際しているカップルの約半分に、デートDVが起きているという数字を見た生徒たちの頭には、「好き同士なのに、何故?」という疑問が生じたはずです。好きだから束縛してもいい、という考えに陥りやすいですね。だから、先生は最初に「人権」のお話をしてくださいました。「人権とは、人は一人ひとり違って生まれながらにして大切な存在。全ての人に対等な価値がある。」だから、大切な人に暴力をふるうことはあり得ないことを、まず理解するように念を押されました。その次にDVが起こるもう一つの原因は、「性に関係なく、全ての人が平等な権利、機会を持つ社会の状態」。つまり「ジェンダー平等」ではなく「ジェンダー不平等」も原因であること。昔ながら「女らしさ」「男らしさ」の価値観に縛られて生きていることについても触れられました。

 

 

 

最初に2つの大事な考えを話した後、人との境界線と距離感の取り方を説明してくださいました。まず、私たち、各自しっかりと境界線を作ることが大事で、『自分の考えをしっかり持つことから境界線ができあがるから、その境界線を越えて相手の境界線に入ったら、それを「暴力」と言う』ことを教えてくださいました。また、人との距離も片手を伸ばした距離感が普通で、少し親しくなると手を腰に置いた距離感であることも具体的に話してくださいました。

 

相手を尊重した関係は、男女間ばかりではなく、友人、家族間との関係にも相通じるものがあります。

 

 

 

お話を聞いた生徒たちの感想を抜粋します。

 

*日本は他の国と比べてジェンダー平等が実現されていない国で、男女差別やジェンダー不平等が今でも続いていることがDVの原因になっていることを学んだ。自分では差別していないつもりでも男性は男らしく、女性は女らしくといったような偏見を持ってしまっているかもしれないので、これからはこのような差別はしないように気を付けたいと思った。女性だけがDVのことについて学ぶのではなく、どの性別の人もDVについて学ぶことでジェンダー差別、DVは減っていくのだと思った。

 

*人と人との距離感が意外と遠くてびっくりした。今まで仲良くしていた友達も距離が近すぎて嫌だと感じていた子がいたかもしれないから、これからは恋人や友達は適切な距離で接していきたいと思った。そして今まで「近すぎる」と思っても言わないで自分が我慢していたら終わるんじゃないかと思っていたけど、嫌だと気持ちを伝えた方が良かったと知って、自分の気持ちを大切にしようと思った。その他にもDVのサイクルはこの授業がなかったら絶対断ちきれないだろうと思ったから、今日学べてよかった。もしこれから交際していくとしたら、対等な関係を続けていきたいと思った。

 

*今回のデートDV講演会では、対等で尊重し合う関係の重要さを再確認でき、とても有意義な時間になりました。特に自分と他人を分ける境界線を大切にし、嫌だと感じたら相手が誰であってもはっきりと断る勇気が不可欠だということ、また境界線を壊すことは暴力だということが印象に残っています。そして、性的な同意の原則やDVのサイクル、デジタル暴力などの具体的な例を知ることで危険を察知し、未然に防ぐ意識が高まりました。信頼できる大人への相談やLINEでの相談など、対処法も確認することで自分や大切な人を守るための知識を深めることができました。この学びを活かし、対等でお互いを尊重できる関係を築いていきたいです。

 

*この授業で私たち一人ひとり生まれながら大切な存在だと改めて気づき、日本は男女差があると聞き、驚きました。私は政治家は男性がなるのが当たり前だと思っていたので、女性がどれほど必要とされていないかを実感し、そのような当たり前を変えていかないといけないと思いました。また、恋愛に関してもしっかり互いを尊敬して、信頼関係もすごく大事で、このようなことを高校生の自分が学べる環境を作ってくれたことがありがたいと感じました。そして、距離をつめてくる男性も悪いかもしれないけど、自分が嫌だったらNOとはっきり断る勇気も必要だと感じました。

 

女性の弁護士の先生からお話を聞く機会がない生徒たちにとって、今回は貴重な出会いであったと思います。都築先生のお話を伺いながら、「人権教育」の必要性を実感しました。日頃「人に迷惑かけないように。人に親切にしなさい。」と言うことは、小さい時から家庭で、学校でよく聞かされている言葉です。しかし、その言葉を教えられている私たちは、実際どのような社会生活を過ごしているのかと考えさせられます。「人を大切にするのも大事だが、その前に自分を大切にした生き方をしていますか?」と言葉をかけてもらっていたら、生き方が変わってくるのではないでしょうか。そうすれば、お互いを尊重し合う関係が作れると思いました。